ウレタン防水の適正単価と業者選びの注意点!【単価表公開】
「ウレタン防水の見積もりをもらったけど、価格が適正か分からない」「見積もり比較しても決められない」という人も多いのではないでしょうか。
ウレタン防水工事は、悪徳業者・手抜き業者もが多く、見積もりに不要な項目や、高めの単価が記載されている事がよくあります。
防水工事業者ではなく、リフォーム業者や塗装業者の見積もりに散見されます。
依頼する側がウレタン防水・防水工事の知識を得て、自分の資産を守らないとなりません。
本記事の著者である防水工事見積もり.comの防水工事のアドバイザーの福島が、12,000枚以上の見積もり診断してきた経験則で申し上げると、99%の見積もりは減額できます。
本記事は、工法の解説、工法ごとの単価表の公開と共に、見積もりチェックの方法も紹介するので、優良業者を選びやすくなるでしょう。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
ウレタン防水の基礎的な知識や工法の種類・シェアなどについて知りたい方は「ウレタン防水の基礎知識」の記事をご覧ください。
ウレタン防水とは?防水専門家が工法・メリットデメリット・費用を解説!
ウレタン防水とは?
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ウレタン防水は国内で施工される防水工法の31.3%を占めており(※一般社団法人 防水材協会が公表している2023年データ)、最も主流な防水工事の工法の1つです。
液状のポリウレタン樹脂を建物表面に塗り重ね、化学反応により硬化させます。
これにより、耐久性のある防水層が形成され、建物への雨水の侵入を防ぐことができます。
防水工事の中では比較的安価なうえ、塗り重ねの改修が可能。複雑な建物にも適しており、メリットが多く提案されることも多い人気の工法です。
<ウレタン防水の基礎データ>
手抜き注意度 | ★★★★★ |
---|---|
価格相場(目安) | 5,000円~7、500円/1㎡ |
平均寿命(目安) | 10年~15年程度 (5年~8年毎のメンテナンスを推奨) |
保証 | 5年~10年 |
工法 | X-1工法(通気緩衝工法・絶縁工法・脱気工法 ) X-2工法 (密着工法 ) |
適した建物 | 基本的に、どの箇所でもお勧め 複雑な形状の建物でも施工出来る ビルやマンション等、貯水槽や室外機等が多いところ |
オススメ工法 | ウレタン密着工法 :5~10年程度持てばよい人 (売却予定有りなど) ウレタン通気緩衝工法:確実に10年以上は持たせたい人 |
不向きな建物 | ALC(軽量鉄骨:ハウスメーカー) |
主なメーカーと特徴 | AGCポリマー建材 …サラセーヌが有名です ダイフレックス …エバーコートが有名です 田島ルーフィング …オルタックが有名です 日本特殊塗装 …プルーフロンバリューが有名です |
ウレタン防水工事の注意点として、手抜き工事をする悪徳業者が多い防水工法でもあります。
1-1.メリット:安価で補修しやすい
ウレタン防水の主なメリットは以下の3つが挙げられます
- 比較的安価
- 工事後も補修しやすい
- 複雑な建物にも適している
1つずつ詳細を解説します。
比較的安価
ウレタン防水は他の防水工事の工法よりも安価です。全体の工事金額で見ると、他の工法よりも少し安くなります。
【工事金額例】
・ウレタン防水100㎡:120万円
・塩ビシート100㎡:130万円
もちろん工法によって耐用年数も変わりますが、工事費用を抑えたい人にはおすすめの工法です。
工事後も補修しやすい
ウレタン防水は重ね塗りをして改修できる工法。工事後に破損があった場合も、一部を重ね塗りして補修できます。
他の工法ではウレタン防水ほど、一部改修をしやすいものはありません。
ウレタン防水ではメンテナンスの費用も比較的安くできますよ。
複雑な建物にも適している
ウレタン防水はシートを貼るのではなく、塗るタイプの防水工法です。
だから複雑な建物の防水工事にも適しています。
凹凸があったり、正方形ではない複雑な形をした建物も工事がしやすいです。
1-2. デメリット:信頼できる業者を見つけないと、失敗の可能性も
ウレタン防水の主なデメリットは以下の2つが挙げられます
- 手抜き工事をしやすい
- 職人の腕で仕上げが変わる
こちらも1つずつ詳細を解説します。
手抜き工事をしやすい
ウレタン防水は塗った後、その下がどうなっているかは見た目では分かりません。
そのため業者にとっては、手抜き工事をしやすい工法でもあります。
信頼できる職人に頼まないと手抜き工事をされ、1年後にまた雨漏りをしてしまうことも。
職人の腕で仕上げが変わる
ウレタン防水の工事は、職人の腕次第で仕上がりが異なります。
工場で作られた既製品を使うシート防水などと異なり、ウレタン防水は職人が現場で材料を混ぜて使います。
また「何ミリで重ね塗りをする」などと、職人の技術が必要な工法。
見積もりが安いというだけで選ぶと、ギャンブルと同じでどう仕上がるか分かりません。
1年も経たずに剥がれやすい、膨れやすいなどの硬化不良が起こることもあります。
ウレタン防水工事は、信頼できる業者に依頼することが重要です。
ウレタン防水のメリット・デメリットを更に深堀して紹介している記事はこちらです。
ウレタン防水の代表的な2つの工法と単価
ウレタン防水は主に2つの工法があり、工法によって向いている建物や耐用年数、費用、工程など異なるので、どちらの工法が良いか判断できるよう理解しておきましょう。
- 【ウレタン防水の代表的な工法】
- 雨漏りに最適な通気緩衝工法(別名:絶縁工法及びX-2工法)
- 初期費用が安い密着工法(別名:X-1工法)
2つの工法の一番大きな違いは、通気緩衝シートの有無です。 通気緩衝シートは下地に含んだ雨水を吸い取り、外に逃がすため雨漏りに有効です。
ウレタン防水通気緩衝工法は、別名で絶縁工法やX-2工法と呼びます。ウレタン密着工法についてはX-1工法という別名があります。
ウレタン防水は業者により呼び方が違うので混乱する方も多いようです。
ウレタン防水の工法種類と違いについてはウレタン防水とは?の記事にて更に詳しく紹介しています。
ウレタン防水とは?防水専門家が工法・メリットデメリット・費用を解説!
2-1. 雨漏りしている建物に最適な通気緩衝工法(別名:絶縁工法及びX-2工法)
雨漏り有効度 | ★★★★★ 雨漏りに有効な工法です |
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価格相場(目安) | 6,000円~7,500円/1㎡ |
平均寿命(目安) | 13年~15年 (5年~8年毎のメンテナンスを推奨) |
保証 | 10年 |
通気緩衝工法は通気緩衝シートによる通気層を持つため、雨漏りに最も効果的な工法です。初期費用は上がりますが、雨漏りに悩んでいる方は通気緩衝工法を選びましょう。
なお、通気緩衝工法は防水工事専門業者でないと施工が難しい場合があります。
塗装業者が通気緩衝工法を提案するケースもあるため、施工実績と見積もり内容をよく確認する必要があります。
ウレタン防水通気緩衝工の施工手順については下記の記事でも動画付きで紹介しています。
ウレタン防水通気緩衝工法の施工手順(絶縁工法)
メリット
- 通気層を持ち、雨漏りしている建物にも効果的
- 膨れにくいため、密着工法よりも長持ちする
- 工事後のメンテナンスが楽
- 工事後のメンテナンスの費用が安い
- しっかりメンテナンスをすれば、半永久的に持つ
一番のメリットは長持ちすることです。雨漏りにも強く、密着工法よりメンテナンスの頻度が下がります。
【工法別の耐用年数】
- 通気緩衝工法:1度の工事で15年維持できる
- 密着工法:1度の工事で5年維持できる
デメリット
- 初期費用が高め
密着工法の1.5〜1.7倍はかかります。
デメリットは初期費用が高めなこと。しかし密着工法に比べて、メンテナンスの工事は1/3回で済むため、長期的には安くなる可能性があります。
こんな人におすすめ
- 雨漏りした建物の防水工事をしたい人
- 1回の工事でより長持ちさせたい人
「何度も工事をしたくない」「メンテナンスに時間をかけたくない」という人におすすめの工法です。
2-2. 密着工法(別名:X-1工法)は安いが雨漏りしている建物には向かない
雨漏り有効度 | ★☆☆☆☆ 雨漏りしている建物には不向きな工法です |
---|---|
価格相場(目安) | 5,000円~6,000円/1㎡ |
平均寿命(目安) | 10年程度 (5年~8年毎のメンテナンスを推奨) |
保証 | 5年 |
密着工法は雨漏りしている建物では選んではいけません。
下地と防水層を密着させる工法で、雨水を吸い取り、外に排出する機能がありません。
雨漏りで下地に含まれた雨水は夏などの厚い時期に水蒸気となり、膨れが起こり雨漏りが再発してしまいます。
以下の動画は密着工法から水分が溢れ出る実験をしています。
ウレタン防水密着工法は、雨漏りをしていない建物であれば初期費用が安くなります。
メリット
- 初期費用が安い
- 工程が少なく工事の日程が短い(晴れていれば2日、3日で終わることも)
初期費用が安いため、予算を抑えて防水工事をしたい人には向いています。
デメリット
- 通気性能を持たないため破断が起きやすく、雨漏りした建物には向かない
- 耐久性が強くないため、5年に1回はメンテナンスの工事が必要
- 業者を慎重に選ばないと失敗する
密着工法は防水工事の専門業者以外も施工できます。しかし、業者を慎重に選ばないと、専門技術のない人が工事をする可能性もあります。
こんな人におすすめ
- 数年後には売却、建て替えを考えている(直近5年ほど維持できればいい人)
- 10年おきにメンテナンスの工事ができる人
ウレタン塗膜防水の単価表を見積もり形式で公開!
ウレタン防水の単価を理解しやすいように単価表で紹介します。
ウレタン塗膜防水の代表的な工法の単価表になります。
単価表を見て頂ければイメージしやすくなります。
3-1. 密着工法(X-2)の正しい見積もり・単価表
<屋上防水 密着工法 100㎡>
高圧洗浄 | 150kg圧:100㎡×300円=30,000円 |
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平場ウレタン塗膜防水 | 密着工法 90㎡×5,000円=450,000円 |
立上りウレタン防水 | 密着工法 35m×4,00円=140,000円 |
改修用ドレン設置 | 新規設置4箇所×15,000円=60,000円 |
笠木ジョイントシール | 1式×15,000円=15,000円 |
小計 | 695,000円 |
<諸経費>
発生残処費分 | 1式20,000円 |
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諸経費・現場管理費 | 1式25,000円 |
材料荷揚げ・荷下ろし費 | 1式30,000円 |
小計 | 75,000円 |
<その他サービスに含まれるもの>
- 保証期間:屋上5年
- アフター点検1・3・5年実施
- 屋上DSM-300(ダイフレックス)
3-2. 通気緩衝工法(X-1)の正しい見積もり・単価表
<屋上防水 通気緩衝工法100㎡>
高圧洗浄 | 150kg圧:100㎡×300円=30,000円 |
---|---|
下地処理 | 100㎡×500円=50,000円 |
平場ウレタン塗膜防水 | 通気緩衝工法90㎡×6,500円=585,000円 |
立上りウレタン防水 | 密着工法 補強メッシュシート入り 35m×5,000円=175,000円 |
改修用ドレン設置 | 新規設置4箇所×15,000円=60,000円 |
脱気筒設置 | 新規設置2箇所×10,000円=20,000円 |
小計 | 1,014,000円 |
<諸経費>
発生残処費分 | 1式30,000円 |
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諸経費・現場管理費 | 1式40,000円 |
材料荷揚げ・荷下ろし費 | 1式40,000円 |
小計 | 110,000円 |
<その他サービスに含まれるもの>
- 保証期間:屋上5年
- アフター点検1・3・5年実施
- 屋上DSM-300(ダイフレックス)
3-3. その見積もり正しい?セルフチェックポイント
防水工事のプロがいつもチェックする見積もりのポイントを公開します。見積もりをすでに持っている方は、下記項目をチェックしてみてください。
保証年数が書いてある
保証がサービスに含まれている場合、見積もりに記載してあります。5年、10年などの保証年数の記載があるか、しっかり確認しましょう。
メーカー名や工法名の記載がある
メーカー名や工法名の記載があるかも確認してください。防水工事の見積もりは工法名やメーカー名の記載が一般的です。
下地処理・材料名の記載がある
防水工事には必ず下地処理が必要です。材料名と単価が記載されているか確認しましょう。下地処理を「1式」などと書いてある見積もりには注意してください。
定期点検の年数が記載してある
定期点検がサービスに含まれる場合、見積もりに記載してあります。防水工事は定期点検によって長持ちさせられるので、必ずサービスに含まれている業者を選んでください。
当サイトで紹介している業者はすべて、「1年・5年・10年」の定期点検をサービスに含んでいます。
諸経費・管理費が適切な価格か
諸経費、管理費を高く設定する業者もあるから注意してください。目安としては100㎡のウレタン防水工事で10万円以内が妥当です。
もしも見積もりをチェックしていて不安な点があれば、「防水工事推進協会」の防水アドバイザーに無料相談してみましょう。
相談の前に記事で読みたいという方は、防水工事の見積もりの記事も参考にしてみてください。
ウレタン防水の価格を抑えるための業者選びの注意点
ウレタン防水工事の業者選びでは、屋上防水工事の施工実績がある業者に依頼しましょう。防水工事は、防水工事専門業者以外に、塗装業者やリフォーム会社も行っていますが、防水工事専門業者に二次委託され、ウレタン防水の工事費用が高くなる事があります。
ベランダは狭いので塗装業者でもウレタン防水工事ができますが、屋上防水や施工面積が広い防水工事は難しいです。
ベランダばかりの実績がある業者は、屋上防水を施工する技術に乏しい可能性があります。
ウレタン防水は、施工最後のトップコートを重ねれば、見た目は問題ないように見えます。しかし、中の防水層の状態がわからないため、最もごまかしのきく工法です。
雨漏りを止め、10年以上長持ちさせる防水工事は、防水工事専門業者に依頼しましょう。
業者のホームページの事業内容の一番上に「防水工事」の記載がある業者は、防水専門業者といってほぼ間違いないです。
防水専門業者が行うウレタン防水の施工手順
1,仮防水
既存防水を撤去した箇所に、仮防水(カチオン樹脂)をしていきます。下地がむき出しになってしまため、工事中に雨が降った対策として仮防水を行っています。
防水専門業者以外だと、省かれるケースがあります。
2,通気緩衝シート(旭硝子サラセーヌ)
シート全体で水を吸っていくタイプのシートで、高機能です。他のメーカーさんですと、アスファルト性でできた通気シートを下地に貼っていく方法もあります。防水専門業者では、建物や状態によって、同じ通気緩衝工法でも、使うメーカーを変えた提案を行います。
3.ウレタン防水(2層目)ウレタン剤をまく
晴天の日は、硬化スピードが早いため素早く防水加工をしていく必要があります。天気によって、作業スピードを変える必要があります。
4.ウレタン防水(手すり・クラウド注入)
手すりがガタガタになっている建物に、手すりの根本にクラウド剤(腐食防止)を注入していきます。腐食を防ぐだけでなく、手すりの強化にもなり、安全対策に効果があります。防水専門業者では、屋上防水のスペシャリストのため細かい部分も提案してくれます。
ウレタン防水を長持ちさせて費用を抑えるコツ
ウレタン防水を長持ちさせることで中長期的な費用を抑えることができます。下記3つは必ず実施しましょう。
- 大雨・台風の前後にドレン排水溝の掃除をする
- 業者に定期点検をしてもらう
- トップコートを塗り直す
1つずつポイントを解説します。
大雨・台風の前後にドレン排水溝の掃除をする
大雨・台風の前後は、ドレン周辺の落ち葉などを掃除しましょう。落ち葉が排水溝に詰まると、大雨のときに屋上に水が溜まってしまい、雨漏りの原因になります。
梅雨が来る前の5月と、台風が来る前の7月などに点検と掃除をして、ゴミや落ち葉を処理し、大雨・台風の後も点検と場合により掃除を行いましょう。
マンションやアパートのオーナーさんは、夏の間に管理会社さんに屋上を掃除してもらえるように依頼をしておきましょう。
余計な防水工事費用の負担が発生しないよう、ドレンの点検と掃除は必須です。
防水工事業者に定期点検をしてもらう
ウレタン防水は、隅部とシーリングが部分が大事ですが、残念ながら自分自身で処理できる部分ではありません。
防水工事業者に定期点検をしてもらいましょう。
見積もりに定期点検がサービスが入っているか確認しておきましょう。
1年、5年、10年は点検をしてもらった方が安心です。防水工事見積もり.comで紹介する防水工事業者は、定期点検をサービスに含んでいます。
トップコートを塗り直す
ウレタン防水は、5年~10年に1度はトップコートの塗りなおしが必要です。
万が一、何かあっても早めにメンテナンスをすることで、一部補修で済み、結果的に費用を抑えることができます。
ウレタン防水のトップコートについては下記の記事で詳しく解説しています。
ウレタン防水のトップコートとは?単価と塗り替えタイミングも解説!
トップコートの塗り直しのタイミングは、定期点検のときに業者に確認しましょう。
日当たり具合や立地などの条件で、塗り直しのタイミングが異なってきます。塗り直しのタイミングを逃さないためにも、定期点検をしっかりするのがおすすめです。
ウレタン防水の優良業者選びを無料でお手伝い!
防水工事見積もり.comは、ウレタン防水工事のコストパフォーマンスに優れた優良業者を最大3社紹介しています。
優良業者をご紹介することも可能ですが、ご自身で探されている場合は、悪徳業者の被害に合わないためにも下記の点を特によく覚えておいてください。
- ウレタン防水は、定期的なメンテナンスが必要
- 雨漏りしている建物に、密着工法は採用しない
- 通気緩衝工法は、防水工事専門業者しか施工できない
もし今持っている見積もりが「高いのでは?」と思っていたり、工法・業者選びにお悩みであれば、経験豊富な防水アドバイザーが、あなたの「困った!」「大丈夫?」を解決します。
下記サービスをすべて無料で提供しているので、防水工事で失敗したくない方はぜひご利用ください。