雨漏りの原因ランキングTOP10!対策方法と費用相場を解説!

更新日:2024年10月11日 BY 福島 慎介

屋根や外壁の経年劣化、自然災害によるダメージが主な原因となる雨漏りは、建物にとって深刻なトラブルです。

この記事では、雨漏りの原因となる箇所のトップ10を紹介します。

さらに、雨漏り修理の費用相場や原因や対策方法を防水アドバイザーの福島が解説します。

建物を守るための貴重な情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者
福島 慎介
福島 慎介

神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。

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天井からの雨漏り
<天井からの雨漏り>

雨漏りは、経年劣化や地震・台風などの自然災害によるダメージが原因で発生することがほとんどです。

ここでは、雨漏りの原因としてよく挙げられるトップ10の発生箇所について、その原因や対策とともにご紹介します。

1位屋上防水の亀裂・ヒビ割れ
2位屋上の笠木
3位外壁のコーキング
4位窓枠・サッシ・天窓
5位外壁のひび割れ
6位ドレン周りから
7位ALC外壁とパラペットとの取り合い
8位屋根の板金
9位ベランダの防水から
10位屋根材の亀裂・防水シートの劣化

1位 屋上防水の亀裂・ヒビ割れ

屋上防水の亀裂・ひび割れからの雨漏り
<屋上防水の亀裂・ひび割れからの雨漏り>

陸屋根のマンション、ビル 戸建てで最も多く雨漏りが見られる原因として、屋上防水の亀裂やヒビ割れが挙げられます。

〇原因

屋上は、太陽の紫外線、雨・風邪にダイレクトにダメージが受けやすい箇所です。そのため、他の箇所よりも劣化が起こりやすくなります。

例えば、ウレタン防水の場合、塗膜で雨水を弾くのですが、ウレタン防水膜に太陽の紫外線が原因で、塗膜の膜がどんどん薄くなってきます。

その薄くなってきたタイミングで、大雨や地震などの揺れなどで防水膜が剥がれ、破れ、破断したりする現象が起こります。

また、シート系の防水も同様に、太陽の紫外線、雨風、地震の揺れなどでシートが劣化したり、ジョイントと呼ばれるつなぎ目が割けたり、シートの破れや剥がれ、浮きといった状態になります。特に各コーナー部に出やすい現象です。

剥がれたシート防水
<剥がれたシート防水>

〇対策

このような症状が見られた場合、早めに専門業者にひび割れ部分の修復や防水層のメンテナンスをしてもらいましょう。

シート防水の場合は、シートのジョイントにシール材や接着材をつけたり、各コーナー部は、パッチといった穴や破れなどが発生した箇所に貼り付け、シートの損傷を修復し、防水性や耐候性を回復します。

2位 屋上の笠木

<笠木の劣化からの雨漏り>

屋上部分におけるもう一つの重要な雨漏り原因は、笠木と呼ばれる場所です。

笠木とは屋上からの転落を防ぐための腰壁(パラペット)の上部に被せている仕上げ材のことです。

パラペット以外に、ベランダやバルコニーでも使われています。

ベランダの笠木
<ベランダの笠木>

〇原因

笠木は経年劣化や施工不良により、隙間が生じたり緩んだりすることがあります。

もしも笠木が次のような状態の場合、雨漏りが起こりやすいので要注意です。

  • 笠木を固定している釘が緩んでいる・錆びている
  • 笠木にズレや浮きがある
  • 笠木が錆びている
  • 笠木同士の継ぎ目や壁との接合部のシーリングの劣化

このような状態ですと、笠木から入り込んだ雨水が躯体を伝って雨漏りの原因となります。

〇対策

笠木が変形していたり錆びている場合は交換しなければなりません。

さらに、被害が大きい場合は外壁材の撤去や構造体の補強など、大規模な工事が必要になることもあります。

こうなってしまう前に、シーリングの交換や笠木の塗装を定期的に行うことをおススメします。

3位 外壁のコーキング

外壁のコーキングの劣化での雨漏り
<外壁のコーキングの劣化での雨漏り>

雨漏りの原因で意外と多いのが外壁のコーキングからの雨漏りです。

コーキングは外壁同士の隙間を埋めて、雨水の侵入を防いでくれます。

しかし、建物の外壁は太陽からの紫外線や風など、自然からのダメージをもろに受けるため、コーキングの劣化は避けられません。

また、コーキングはゴム製であり比較的短期間で劣化する傾向があるので、定期的なメンテナンスを行うことが大事です。

〇原因

外壁コーキングが風雨や紫外線にさらされることで劣化し、コーキング材のひび割れや痩せが生じます。この時にできる外壁との隙間が雨漏りの原因となります。

〇対策

もしも、ひび割れや割れが見られた場合、外壁の隙間にコーキング剤の注入や打ち替えをして補修することが一般的な対応策になります。

4位 窓枠・サッシ・天窓

窓枠・サッシからの雨漏り
<窓枠・サッシからの雨漏り>

雨漏りの原因として見過ごされがちなのが、窓枠・サッシ・天窓です。

これらの箇所は結露と雨漏りの見分けがつきにくく、特に、気密性の高い住宅では、結露が原因で水が溜まることがあります。

〇原因

窓枠やサッシからの雨漏りは、特に築10年以上の物件で起こりやすいトラブルです。

この原因は、サッシ周りのコーキングのひび割れがほとんどです。

時間の経過とともに、外壁材との境界部分にあるコーキングが劣化し、雨水の侵入口となります。

天窓のパッキンの劣化
<天窓のパッキンの劣化>

症状としては、窓枠から水滴が落ちる、窓下の壁紙の剥がれなどが挙げられます。

次に天窓からの雨漏りについてですが、こちらは特にガラスパッキンの劣化が原因であることが多いです。

ガラスパッキンは、天窓のガラスとサッシの継ぎ目にあり、経年劣化により雨漏りを引き起こす可能性があります。

症状としては、雨が降ると天窓のガラス付近から雨水が落ちてくることや、周りの壁、木材、天井にシミができることが挙げられます。

〇対策

窓枠やサッシから雨漏りしている場合は、古いコーキングを剥がし、新しいコーキング剤で充填する「打ち替え」が必要です。

また、天窓からの雨漏りの場合は修理は屋根に上がって行う必要があり、高額になることもあります。パッキンの交換や防水処理を行うのが一般的ですが、屋根全体の修理が必要になることもあります。

5位 外壁のひび割れ

外壁のひび割れからの雨漏り
<外壁のひび割れからの雨漏り>

外壁のひび割れは、家屋にとって重大な警告信号です。

外壁からの雨漏りは、屋根の破損などとは異なり、外からは気付かないほどの細いひびが原因であることが多くあります。

〇原因

ひび割れの原因のほとんどは、外壁材の経年劣化によるものです。

特にサイディングボードなどは、釘の周りに負荷が集まりやすく、ここからひび割れることが多くあります。

外壁のひび割れから雨漏りすると、壁紙の浮きや染み、部屋のかび臭さなど、屋内で明らかな症状が現れます。

〇対策

まず最初に、専門業者にヒビ割れの深度を確認してもらいましょう。

ヒビ割れの深度を確認することで、壁自体がどの程度劣化しているか、また壁内部が腐っているかを見極め、部分修理か全体修理かを判断できます。

ヒビ割れが表面的で家への影響が少ない場合は、コーキングによる部分修理で対応可能です。

しかし、築20年以上の家屋で被害が広範囲に及ぶ場合は、全体修理や補強のための塗装が必要になることもあります。

6位 ドレン周りから

ドレン周りからの雨漏り
<ドレン周りからの雨漏り>

建物の雨漏り原因として、日頃から気を付ける箇所はドレン周りです。

ドレンとは、屋上やベランダなどの水を排水する設備です。

枯れ葉やゴミがドレンを塞いだ場合、雨水が適切に排水されず、水溜まりができやすくなります。

これが建物内への水の侵入を引き起こし、雨漏りの原因となるのです。

〇原因

雨漏りの原因となるドレン周りの原因には、

  • ドレン自体のヒビや詰まり
  • ドレン周囲のゴミの蓄積
  • 防水層との接合部の不良

などが挙げられます。

また、ドレンの錆びや、防水層の劣化が原因の場合もあります。

〇対策

ドレン周りで雨漏りが発生した場合、原因の特定が必要ですので専門業者による調査を依頼しましょう。

ドレンや防水層の状態をチェックしてもらい、必要に応じて改修や交換を行います。

たとえば、ドレンが詰まっていた場合は清掃や形状の改修で済みますが、勾配などに問題がある場合は大規模な工事が必要になることもあります。

7位 ALC外壁とパラペットとの取り合い

ALC外壁とパラペットからの雨漏り
<ALC外壁とパラペットからの雨漏り>

雨漏りの原因の中でも特に注意が必要なのが、ALC外壁とパラペットとの取り合いです。

ALC外壁とは軽量気泡コンクリート製の壁材で、パラペットは屋上やベランダの周囲を囲む低い壁のことを指します。

〇原因

ALC外壁とパラペットとの取り合い部分では、経年劣化による隙間が生じることがあります。

ALC外壁は普通のコンクリートの4分の1ほどの軽さで出来ており、その構造から地震・台風といった揺れに対しての耐震性があります。

しかし、取り合い部分のコーキングが切れやすく、ひび割れやクラックが起きやすいというデメリットがあります。

また、雨漏りによってALC外壁内部で雨水が蓄積されると、外壁材の内側にある鉄骨が雨水で錆びて膨張し、爆裂を起こします。

〇対策

下地調整が不十分なまま、表面だけ修繕しても雨漏りが再発するため、専門業者に確認してもらいましょう。

下地調整の仕上がりに関しては、現場の職人の技術・経験に左右されますので、業者選びは慎重に行ってください。

さらに、ALC外壁のひび割れや塗膜の劣化は、気温の変化による外壁材の収縮、紫外線等の自然の影響による経年劣化などで起こるため、定期的なメンテナンスが必要です。

細いヘアクラック(幅0.3mm以下)なら表面的なものなのでそれほど心配はいりませんが、それ以上大きくなると吸水、剥落の危険性も大きくなります。

コーキングの劣化も重要なチェックポイントです。

塗装時期の目安は約10~15年ですが、コーキングはそれよりも早めに劣化することがあります。

コーキングの補修には、「増し打ち」と「打ち替え」という2つの方法があります。

表面的なコーキング材の劣化であれば、増し打ちによって防水性が復活します。

しかし、防水効果を得るには専門的な知識が必要ですので、専門業者に依頼しましょう。

8位 屋根の板金

屋根の板金からの雨漏り
<屋根の板金からの雨漏り>

建物の雨漏り原因として見落とされがちなのが、屋根の板金です。

屋根の棟板金、谷板金、破風板など、折り目や端の部分は15年程度経過すると浮きや釘のゆるみが起こり、雨水の侵入口となることがあります。

〇原因

雨漏りの症状としては、天井の染みや天井クロスの浮き、剥がれなどが現れます。

屋根の板金の破損は、台風などの外的要因や経年劣化によるものであり、割れた屋根材の下にある防水シートや木材の劣化が徐々に進行し、最終的に雨漏りに至ります。

〇対策

雨漏りが発生した場合、屋根に登り、屋根裏を点検し、雨漏りしている箇所を特定する必要があります。

したがって、一般の方が自力で修理するのは困難ですので、専門の修理業者に依頼しましょう。

9位 ベランダの防水から

ベランダ防水からの雨漏り
<ベランダ防水からの雨漏り>

ベランダは屋上と同様に雨水に直接晒されるため、防水処理が非常に重要です。

しかも、屋上に比べて人の出入りが多いため、防水層の劣化や損傷が生じやすいとも言えます。

〇原因

ベランダの真下にある部屋や軒天井に染みがある場合は、ベランダからの雨漏りの可能性が高いです。

原因はさまざまですが、主に以下のような事例が挙げられます。

  • ベランダ床の防水層の劣化
  • ベランダの排水口の詰まり
  • 笠木(手すり)の劣化

ベランダの床面ウレタンやFRP、シートで形成された防水層が経年劣化により、撥水力・防水力が低下し雨漏りする可能性があります。

また、落ち葉やゴミによって排水溝(ドレン)が詰まり、流れなくなった雨水が壁に染み込むことがあります。

ベランダの笠木は外壁材の上に乗っているため、隙間ができると外壁内に水が入ってしまうことがあります。

〇対策

ベランダの雨漏りは見分けにくいため、 原因を特定するのは難しいことが多いため、業者に点検を依頼することをおススメします。

10位 屋根材の亀裂・屋根の防水シートの劣化

屋根材の亀裂、屋根の防水シートの劣化からの雨漏り
<屋根材の亀裂、屋根の防水シートの劣化からの雨漏り>

最後は屋根材の亀裂防水シートの劣化による雨漏りです。

屋根は、雨風の影響を直接受けるため、雨漏りの原因になりやすい箇所です。

〇原因

スレートや瓦などの屋根材が破損・脱落したり、強風により飛ばされたりすることで、露出した屋根下地から天井裏に水が染み込むことがあります。

また、屋根材の下に敷かれている防水シートの劣化も、雨漏りの原因となります。

この防水シートは、屋根材が割れたり欠けたりしても雨水を防ぐ役割を果たしていますが、大量の水が当たると防ぎきれないことがあります。

特に、シートのつなぎ目から雨が侵入することがあります。

〇対策

修理業者に連絡し、屋根材の部分差し替えやズレの補正作業を行ってもらいましょう。

自力での修理は困難な場合が多く、応急処置にとどまることが一般的ですのでやめておいた方が無難です。

また、屋根材の種類によって異なりますが、一般的に10年程度で1度のメンテナンスが推奨されています。

特にスレートの屋根は、定期的な塗装によって長持ちさせることが可能ですので、計画的に行いましょう。

雨漏り修理は建物別で大きく違う
<雨漏り修理は建物別で大きく違う>

雨漏り修理は、建物の種類により工事内容と費用が大きく差が出ます。

建物は主に下記の3つに分類をすることができます。

  • 一般住宅
  • ハウスメーカーの住宅
  • ビル・マンション

ハウスメーカーやビル・マンションの雨漏り修繕は、一般住宅と比較すると費用が大きく変わってきます。また、対応できる業者も建物別で異なります。

特に、ハウスメーカーの住宅は雨漏り・防水工事費用が高いことでも知られています。

工事費用が高いのは、ハウスメーカー独自の材料を使っている場合がある点と、ハウスメーカーが防水工事業者に二次委託をしていることが多いためです。

ハウスメーカーに依頼せず、ハウスメーカーの建物に対応できる防水工事専門業者に直接依頼すると費用は大幅に下がります。

マンションの雨漏り修繕・防水工事は、建物の構造や、既存の防水層の状態によって選ぶ工法が変わってきます。

よくある例としては、雨漏りしている建物にもかかわらず、防水工事専門業者以外から取った安い見積もりのウレタン密着工法で工事し、雨漏りが止まらず、工事をやり直しになってしまうと言うケースです。

特にウレタン防水の場合、塗膜を塗ってしまうと一見綺麗になったように見えるため、工事後少したってから雨漏りが直っていないことに気づき、業者に連絡して補修工事してもらっても、結局技術の無い業者には直せなかったり、さらに連絡も取れなくなることがあります。

雨漏り修繕・防水工事は、知識と経験のある防水工事専門業者に依頼することをおすすめします。

雨漏り修理は、建物別によって費用相場が変わってきます。

一般住宅、ハウスメーカーの住宅、ビル・マンション、それぞれの建物別の費用相場をご紹介します。

一般住宅の雨漏り修理相場

一般住宅の雨漏りで一番多いのは、陸屋根の屋上からの雨漏りです。

雨漏りの原因は色々な場所で起こりますので、どこから雨漏りしているか業者さんに見てもらいましょう。

一般住宅、2階建てのお建物(30~40坪)を想定した費用相場になります。

雨漏り箇所費用相場
屋上からの雨漏り(屋上防水)約75~120万円/約50~80㎡
外壁のコーキングからの雨漏り約10~20万円
窓枠・サッシの雨漏り(コーキング工事)約5~10万円
ベランダからの雨漏り(ベランダ防水)約10~20万円/約5~10㎡
屋根からの雨漏り(屋根塗装)約20~30万円
外壁のひび割れ(外壁補修・塗装)約40~60万円/約120㎡

※外壁のコーキング・窓枠・サッシののコーキング、屋根の塗装、外壁の補修・塗装は別途足場代がかかります。

〇屋上からの雨漏り

屋上防水は、既存防水の上から被せる方法と、撤去してやり直しをする方法があります。

基本的には劣化部分の補修後に防水層を被せて工事しますが、既存防水層の劣化が激しい場合には撤去してから新しい防水層を施工します。

既存防水を撤去する場合は、撤去費用・産廃費用が必要になるため、別途費用が掛かります。

既存防水との相性、既存防水の撤去が必要かどうかなど専門業者さんに判断していただき、見積もりを取りましょう。

〇外壁のコーキングからの雨漏り

コーキングの補修には、「増し打ち」と「打ち替え」という2つの方法があります。

劣化が進んでしまい、ヒビや亀裂があり硬くなってしまった場合は、打ち替えをします。

建物全体の工事になるため、足場が必要になります。そのため、足場代が別途かかるため、外壁塗装と合わせて工事します。

〇窓枠・サッシからの雨漏り

窓枠やサッシの漏れている場所だけ工事する場合は、小さな足場を立てたり、ハシゴなどで工事することがあります。

足場を立てる外壁塗装や外壁のコーキングと合わせて工事することもあります。

〇ベランダからの雨漏り

ベランダの防水工事は、室内を通って工事が出来る場合は足場は必要ありません。

ベランダ防水の様に面積が狭い場所のみ防水工事する場合は、広い面積を工事する場合と工事をする職人の人数が変わらないため、職人の人工代が高くなります。

そのため、屋上防水と合わせて工事すると費用を抑えることが出来ます。

〇屋根からの雨漏り

屋根の工事は足場が必要になるため、外壁塗装と合わせて工事すると費用を抑えることが可能です。

ハウスメーカーの雨漏り修理相場

雨漏り箇所は一般住宅と同様ですが、ハウスメーカー建物の雨漏りで一番多いのは、陸屋根の屋上からの雨漏りです。

ハウスメーカーの屋上防水では塩ビシート防水が多く採用されています。

建物の構造がALC(軽量鉄骨)のため、地震の際に建物が揺れるため、ハウスメーカーでは追従性の高い塩ビシートを採用しています。

塩ビシートはウレタン防水やFRP防水に比べ揺れによるヒビが入りにくく、ハウスメーカーの建物を長持ちさせます。

また、メーカーの定期点検が、10~20年頃に行われます。

その際、簡単な補修などは無償で対応してくれることもありますが、防水層が経年劣化している場合は、また別の場所から雨漏りしてしまうこともあります。

メーカーの定期点検では、診断結果を出してくれ、工事の見積もりを出してくれますが、非常に高額のためメーカー以外の防水業者を探される方も多くいます。

しかし、ハウスメーカーの工事対応できる防水業者の数が少ないため、業者選びがポイントになります。

ご自宅と同じハウスメーカーの工事経験があるかによって、見積もり内容・金額が変わってきます。

安いからといって、ハウスメーカーの経験がない業者で工事してしまうと大失敗してしまいます。

ハウスメーカーの住宅、2階建てのお建物(30~40坪)を想定した費用相場になります。

雨漏り箇所費用相場
屋上からの雨漏り約110~180万円/約50~80㎡
外壁のコーキングからの雨漏り約10~20万円
窓枠・サッシからの雨漏り約5~10万円
ベランダからの雨漏り約15~25万円/5~10㎡辺り

※外壁のコーキング・窓枠・サッシののコーキング、は別途足場代がかかります。

〇屋上からの雨漏り

ハウスメーカーの屋上防水は、既存防水が塩ビシートのため、ほとんどの場合新規の塩ビシート防水を被せる工法になります。

防水層の大部分が剥がれてしまうなど、被せ工法が出来ない場合は既存防水層を撤去する場合もあります。

一般住宅と同様に、既存防水を撤去する場合は、撤去費用・産廃費用が必要になるため、別途費用が掛かります。

屋上の笠木もハウスメーカー独自の笠木を採用している場合があるため、外して新規設置が難しい場合もあります。その場合は笠木を撤去して戻すのか、撤去せずに工事するのか業者の判断になります。

ハウスメーカーはALC造の建物が多いため、漏水して鉄骨が錆びてしまうと躯体の強度にも関わるので早めにハウスメーカーの建物を得意としている専門業者に依頼しましょう。

〇外壁のコーキングからの雨漏り

ハウスメーカーの建物はALC造のため、揺れた際に劣化して硬くなった外壁のコーキングにヒビが入りやすくなります。

一般住宅と同様に、建物全体の工事になるため、足場が必要になります。

そのため、足場代が別途かかるため、外壁塗装と合わせて工事することをオススメします。

〇窓枠・サッシからの雨漏り

一般住宅と同様に、漏れている場所だけ工事する場合は、小さな足場を立てたり、ハシゴなどで工事することがあります。

また、足場を立てる外壁塗装や外壁のコーキングと合わせて工事することもあります。

〇ベランダからの雨漏り

一般住宅と同様に、ベランダの防水工事は、室内を通って工事が出来る場合は、足場は必要ありません。

ハウスメーカーのベランダは、手すりの部分の造りが一般住宅とは異なり特殊な構造をしている場合があります。

また、笠木もハウスメーカー独自の笠木を採用してることも多いので、手すりや笠木の構造を理解している、ハウスメーカーを得意としている専門業者に依頼しましょう。

ビル・マンションの雨漏り修理相場

一般住宅やハウスメーカーに比べ、ビル・マンションは雨漏りしにくいですが、その中でもビル・マンションの雨漏りで一番多いのは、屋上からの雨漏りです。

賃貸マンションの場合、入居者さまにご迷惑がかかったり、入居率にも関わるため早めに工事することをオススメします。

小規模マンション、3階建てのお建物(150~200㎡)をウレタン防水通気緩衝工法で工事した際を想定した費用相場になります。

雨漏り箇所費用相場
屋上からの雨漏り約100~210万円/150~200㎡辺り
外壁のコーキングからの雨漏り約30~60万円
窓枠・サッシからの雨漏り約15~30万円
ベランダからの雨漏り約10~20万円/10~20㎡(1戸)辺り

※外壁のコーキング・窓枠・サッシののコーキングは別途足場代がかかります。

〇屋上からの雨漏り

屋上防水は、既存防水の上から被せる方法と、撤去してやり直しをする方法があります。

基本的には劣化部分の補修後に防水層を被せて工事しますが、既存防水層の劣化が激しい場合には撤去してから新しい防水層を施工します。

屋上に設置物(エアコンの室外機、物置)などがある場合は、撤去や移動が必要になることがあるため、その費用が掛かります。

既存防水との相性、既存防水の撤去が必要かどうかなど、専門業者さんに判断していただき、見積もりを取りましょう。

〇外壁のコーキングからの雨漏り

外壁のコーキングは、建物全体の工事になるため、足場が必要になります。

そのため、足場代が別途かかるため、合わせて外壁塗装をする方が多いです。

〇窓枠・サッシからの雨漏り

ビル・マンションなど3階建て以上の建物の場合、足場を立てる外壁塗装や外壁のコーキングと合わせて工事をオススメします。

〇ベランダからの雨漏り

入居者さまがいる建物の場合、室内を通る工事が難しいため、足場を使用する外壁工事と一緒におこなうと足場代を節約できます。

雨漏りの修理は難しく、時にはベテランの業者でも一度の修理では完璧に解決できない場合があります。不親切な業者は途中で諦めてしまうこともあります。

そこで、信頼できる業者の特徴を表にまとめました。

あなたが修理を依頼しようと考えている業者をこの表と照らし合わせ、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。

良い業者の特徴 悪い業者の特徴
☐全ての工法が提案できる
(ウレタン、塩ビ、アスファルト)
☐ハウスメーカーの建物にに強い
☐現場を見て大事なポイントを教えてくれる
☐見積もりに工法名、材料が書いてある
☐パターン以上の提案がある
☐メーカーと施工会社のW保証
☐見積もりに工事後のアフター点検を記載
☐国家資格の防水一級技能士を持っている
☐質問に対して明確に答えてくれ、分からない場合は調べて回答する
☐社長から職人さんのフローが一貫している
☐誰が工事をするのか明確
(顔写真、工事歴など)
☐途中経過も説明、報告する
☐工事後の関係性を大事にしている
☐特定の工法しか提案しない
☐ハウスメーカーの建物を工事したことが無い
☐現場見ての詳細な説明がない
☐見積もりが不明確で項目が抜けている
☐一つの提案のみ
☐保証がない
☐アフター点検の記載がない
☐資格がない、または不明確
☐質問に曖昧または不適切に回答
☐工事のフローが不明瞭
☐工事担当者が不明確
☐進捗の報告がない
☐契約して終わりで関係が終わる


強風により室外機が倒れ防水層に傷がついた
<強風により室外機が倒れ防水層に傷がついた>

火災保険や瑕疵保険の適用条件について解説します。

加入している火災保険に「風災保証」が含まれている場合は、台風や雪の影響による雨漏りが補償対象となることがあります。

  • 強風
  • 積雪
  • ヒョウ

これに加えて、雷による災害や、給排水設備の事故による雨漏りも補償されるケースがあります。

ただし、風による災害補償の場合、風速20m/秒以上などの条件が適用されることもあるので注意が必要です。

火災保険が使えそうかご不明の場合は、防水工事見積もり.comにご相談ください。

瑕疵保険は、建物の雨水の浸入部分や、構造耐力上主要な部分に不具合が生じた場合に保険金が支払われるものです。

新築住宅の場合、住宅瑕疵担保履行法により10年間の瑕疵責任があり、中古住宅やリフォーム工事に対する保険も存在します。

瑕疵保険に自身で加入する場合、申し込みから検査、必要書類の提出、支払いまでの流れがあります。

参照:株式会社住宅あんしん保証

雨漏りの修理に保険が使える場合があることをご紹介しましたが、そういった事態になる前にトラブルを防ぐことが重要です。

排水口のメンテナンスや、外壁、屋根など水の当たる場所を定期的にチェックして、建物を長持ちさせるよう努力しましょう。

雨漏りを放っておくと、カビの発生や木材の腐食などの二次被害につながる恐れがあります。

しかし、プロの業者に依頼すると、対応までに時間がかかってしまいます。

そんな時、DIYでの修理方法が役に立つかもしれません。

ただし、DIYによる修理はあくまでも応急処置であり、最終的な解決策としては専門業者への依頼が不可欠です。

また、DIY作業にはリスクが伴うため、安全対策を十分に取りながら進めることが重要です。

素人が屋根や屋上に登ることは極めて危険なため、専門的な知識と技術を持つプロに依頼することを推奨します。

しかも、雨漏りの原因を特定し、適切に修理することは専門的な知識と技術を要しますので、素人がDIYで修理しても根本的な解決には至らないことが多いです。

それどころか、不適切な修理は雨漏りを悪化させる可能性があり、建物の寿命を縮めてしまうおそれがありますのでDIYでの修理はおススメしません。

ここでは、DIYによる雨漏り修理方法とその注意点について解説します。

DIYによる雨漏り修理

「今すぐに雨漏りを止めたい」「業者に頼んだけど、来るまでに時間がかかる」というような場合に使える、DIYでの雨漏り修理方法を3つご紹介します。

ただし、あくまでも応急処置ですので、早めに専門業者に依頼してください。

また、雨漏りのDIY修理は危険を伴うため、必ず2人以上で作業するようにしてください。

  • ブルーシートでの補修
  • 防水テープを使用する方法
  • コーキングによる補修

ブルーシートでの補修

雨漏りをブルーシートで止める
<雨漏りをブルーシートで止める>

雨漏りに気づいた場合、最も簡単な一時的対処としては、ブルーシートを使用する方法があります。

ブルーシートは雨漏りが発生していると思われる屋根の部分に被せ、重りを用いて固定します。

ただし、勾配のある屋根や強風時にはこの方法は適していません。

強風の中での高所作業は危険ですので、無理せず業者に連絡しましょう。

防水テープを使用する方法

防水テープで補修
<防水テープで補修>

防水テープは、雨水の侵入を抑える効果的な方法です。

テープの適切な貼り方には注意が必要で、水の流れを考慮して重ねて貼る必要があります。

適当に貼ると見た目が悪くなるだけでなく、雨漏りの原因にもなります。

コーキングによる補修

コーキングで雨漏りを止める
<コーキングで雨漏りを止める>

コーキングは一般的な補修方法ですが、正しい方法で施工しないと効果が得られません。

適切な部分にのみ使用し、無闇に施工することは避けるべきです。

この記事では、雨漏りの原因と対策、建物別の費用について解説しました。

雨漏りは見た目以上に複雑であり、専門的な知識と技術が必要なため、防水専門業者への依頼が不可欠です。

防水工事見積もり.comでは、雨漏り修繕・防水工事を実施しようとされている方へ、優良防水工事業者を最大3社を紹介しています。

また、12,000枚以上の見積もりを見てきた防水工事アドバイザーが、業者より提案された工法と見積もりを診断させていただき、失敗しない防水工事のアドバイスをさせて頂きます。

雨漏りの修理は早ければ早いほど被害を少なくできますので、日頃から信頼できる業者との関係を築いておくことをおススメします。

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