ウレタン防水とシート防水の違いと比較

更新日:2024年8月6日 BY 福島 慎介

「施工会社2社に提案と見積もりを依頼したところ「ウレタン防水」と「シート防水」をそれぞれ提案をしてきました。どちらを選ぶべきなんでしょうか?

防水工事の優良業者を無料紹介をしている防水工事見積もり.comに、こちらの質問がよく寄せられます。

建物の状況や計上、雨漏りの有無により採用すべき工法が異なりますが、まずはウレタン防水とシート防水の違いを知ることが大事かと思います。

こちらの記事では、防水アドバイザーの福島がウレタン防水とシート防水の違い、比較を工法ごとに解説します。

この記事の監修者
福島 慎介
福島 慎介

神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。

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ウレタン防水とシート防水の違い
<ウレタン防水とシート防水の違い>

シート防水は、シートを重ねて貼る工法です。
シート防水の代表的な工法は、塩ビシート、アスファルトルーフィングシート、ゴムシートがあります。

いっぽう、ウレタン防水はウレタン樹脂を塗っていく工法です。
代表的な工法は、ウレタン、FRP、水性系防水(下地調整剤)などです。

建物の構造(鉄骨、ALC、RC、木造など)や、既存の防水の種類により合う、合わないがあります。

 それらを見極め、貼る工法が良いのか、塗る工法が良いのかを決定します。

この見極めは難しく、専門性が問われることになります。

 一般的な見解ですと、貼る工法(シート防水)の方が専門技術を要すると言われています。

シート防水ウレタン防水をもっと詳しく知りたい場合は下記の記事をご参照ください。

ウレタン通気緩衝工法と塩ビシート機械固定工法の違い
<ウレタン通気緩衝工法と塩ビシート機械固定工法の違い>

ウレタン防水通気緩衝工法においても、通気シートを使用します。

同じ「シート」という名称ですが、2つのシートは機能が全く異なります。

通気シートとは

ウレタン防水通気緩衝工法で使われる自着シート
<ウレタン防水通気緩衝工法で使われる自着シート>

ウレタン防水通気緩衝工法で使われる通気シートとは、下地に貼るアスファルト系でできた自着シートのことです。

下地に含んだ水や湿気をシート全体で吸い、脱気筒を通じて地上に少しずつ逃がしていくため、絶大な効果があります。

水分を外に逃がすことにより、防水層や建物の劣化を防ぐことができます。

 ウレタン通気緩衝工法の詳細はこちらの記事で動画付きで解説しています。

塩ビシートとは

塩ビシートを貼り付けていく工法
<塩ビシートを貼り付けていく工法>

ポリ塩化ビニル製のシートを貼り付けていく工法です。

シートを溶剤で溶かしながら貼りつけていきます。

他のウレタンなどの工法と比べると防水強度が高いのが特徴です。

また、塩ビシートを貼る前に、緩衝シートというシートも貼り付けます。

緩衝シートと聞くと、通気シートと勘違いしてしまいそうですが、別物です。

屋上は凹凸している箇所もあるため、緩衝シート(ポリエチレン製)を貼ることで、不陸を軽減することができ、塩ビシートが貼りやすい状態にできます。

塩ビシート緩衝シート
<塩ビシートの緩衝シート>

シート防水についての基礎知識をもっと知りたい方は「シート防水とは?」の記事をご覧ください。
https://bousuikouji.info/sheet/sheet_bousui/

ウレタン防水とシート防水を単純比較すると、下記の通りになります。

2つの工法の比較
<2つの工法の比較>

シート防水はウレタン防水より耐用年数も長く、メンテナンスの手間も省けますが、施工の難易度が上がり、防水工事の専門業者ではないと施工が難しい工法です。

ウレタン防水は建物の計上に応じた柔軟な施工ができるため、施工のしやすさもあります。

どちらを採用するかは、建物の構造や状態、雨漏りの有無などにより異なるため、専門業者による現地調査が必要になります。

ウレタン防水とシート防水の比較表
<工法ごとに特徴・ポイントがある>

ウレタン防水やシート防水にも工法が細分化しているので、一概にウレタン防水とシート防水を比較するのではなく、上記のように工法ごとに比較していくのが正しいです。

屋上防水における工法ごとの採用率
<屋上防水における工法ごとの採用率>

防水工事見積もり.comでは、ウレタン防水が最も多く採用されています(密着工法と通気緩衝工法を合算)。

しかし、工法単位となると塩ビシート機械固定法の採用率が最も高くなっています。

ウレタン防水を選ぶべきか、シート防水を選ぶべきかを回答するには、以下4つのポイントを知る必要があります。

  • 見積もりの詳細を見ること
  • 現地の状況を把握すること
  • ご予算
  • メンテナンスについてのご希望

建物の状態、建物オーナー様のご希望や予算により、ウレタン防水かシート防水かを決定していきます。

防水工事アドバイザーである福島は、今まで12,000枚を超える防水工事の見積もりを見てきました。

見積もりの詳細を見ると、見積もりに無駄な項目があったり、違和感がある箇所が見つかるときがあります。

まず見積もり内容の検証をすることで、どちらの工法を選ぶべきかの答えに近づくことができます。

防水工事の他の工法も含めて種類と比較はこちらの記事で解説しています。

ウレタン防水、シート防水どちらが良いか迷ったら、防水工事見積もり.comへご相談を

防水工事見積もり.comでは、既にお持ちの見積もりの診断を無料で行わせて頂いています。

当サイトにお問い合わせをする方のほとんどが、既に見積りをお持ちの方です。

見積もりを拝見させて頂き、不要な項目や提案の課題・問題を発見します。

その上で必要に応じて優良防水工事業者を最大3社紹介させて頂きます。

防水工事は「どの工法を選ぶか?」という事以外に、「どの業者に依頼するか?」が重要です。

業者の調査力、提案力、技術力により、防水工事の耐用年数が変わります。

建物を維持するための工事を実施できる業者を選ぶ必要があります。

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