ウレタン防水のトップコートとは?単価と塗り替えタイミングも解説!
ウレタン防水を長持ちさせるためにはトップコートが必須です!トップコートにより紫外線や外部の刺激からウレタン塗膜層を守り、雨漏りを防止することができます。
しかし重要なのはウレタン防水のトップコートを塗り直すタイミングと、塗り替えをすべきサインを知ることです。5~8年を目安にトップコートの塗り替えを行いますが、早めにトップコートの塗り直しが必要なときもありますし、トップコートの種類によっては塗り直しのタイミングが10年というものもあります。
本記事ではウレタン防水におけるトップコートの種類、塗り直しタイミング、単価までを、防水工事アドバイザーの福島が解説します。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積もりや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
ウレタン防水のトップコートとは?

ウレタン防水のトップコートは、ウレタン防水層を紫外線や摩耗から保護するために、ウレタン防水工事の仕上げとして防水層の表面に塗る塗料です。
ウレタン防水は太陽の紫外線に弱いため、紫外線から防水層を守るトップコートは必須です。
トップコートには防水効果はありません。
ウレタン塗膜防水を長く持たせるためにはトップコートは大変重要な役割を果たします。

ウレタン防水にトップコートが塗られなかったとしたら、紫外線によりウレタン層にヒビや亀裂が入りやすくなり、結果雨水が侵入しやすくなります。
ウレタン防水層を長持ちさせるためにも、トップコートを塗ることが必須です。
ウレタン防水の防水層について詳しく知りたい方は「ウレタン防水とは?」の記事をご覧くださいませ。
ウレタン防水とは?防水専門家が工法・メリットデメリット・費用を解説!
ウレタン防水のトップコートの耐用年数は5年~最大12年
ウレタン防水 トップコートの耐用年数は基本的に5年~8年です。5年~8年くらいのタイミングで、表面が剥げてきます。
しかしトップコートの種類によっては最大12年まで持つものもあります。
ウレタン防水 通気緩衝工法の耐用年数が13年~15年くらいのため、ウレタン防水の工事を実施した後は、2回ほどはトップコートを塗り直すことを推奨しています。
個人的なおススメとしては、10年後の保証が切れるタイミングで、トップコート塗り直しをしてもらうことです。
塗りなおしを怠ると、ウレタン防水層の表面にヒビや亀裂が入りやすくなるので、13年~15年より早い時期に、本格的なウレタン防水工事をやりなおす事になってしまうかもしれません。
10年くらいのタイミングでトップコートの塗り直しをすることで、防水層を守ることが出来ます。
ウレタン防水トップコート4種類ごとの特徴と耐用年数
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ウレタン防水のトップコートは主に下記4つの種類があります。
- アクリル系トップコート
- シリコン系トップコート
- フッ素系トップコート
- 遮熱系トップコート
トップコート種類別の耐用年数・単価・特徴は以下の通りです。
ウレタン防水などとセットで施工した場合の金額になります。
| トップコート種類 | 耐用年数 | 平米単価 | UVカット | 特徴 |
| アクリル | 5年~8年 | 500円~700円 | 〇 | 費用が安い |
|---|---|---|---|---|
| シリコン | 8年~10年 | 800円~1000円 | ◎ | 耐熱性・耐寒性がある |
| フッ素 | 10年~12年 | 1200円~1500円 | ◎ | カビや藻が発生しにくい 最も長持ちする |
| 遮熱系 | 8年~10年 | 1000円~1200円 | ◎ | 表面温度と室内温度を抑えられる |
トップコートは防水工事のやり方により選び方が変わってきます。
各トップコートを1つずつ解説していきます。
【標準】アクリル系トップコート
耐用年数:5~8年
アクリルウレタン系のトップコートとは、樹脂が主成分の塗料です。
材料メーカーから標準で付いてくるトップコートです。
費用を抑えて施工をしたいときは、アクリル系トップコートが適しています。
【オプション】シリコン系トップコート
耐用年数:8~10年
シリコン樹脂を主成分とするトップコート材料です。
シリコンは柔軟性があり、耐候性が高い特徴があります。
紫外線や気候変動に対しても強い安定性を持っています。
シリコン特有の柔軟性が工事後の伸縮性を向上させ、建物の動きに対応します。
費用もそれほど高くなく、耐久性をえられるためコスパの良い塗料です。
【オプション】フッ素系トップコート
耐用年数:10年~12年
フッ素樹脂は、テフロン(PTFE)などの商標で知られる、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の一種です。
フッ素樹脂は、紫外線や熱に強い耐候性を持っています。その上、劣化が少ないので一番長持ちするトップコートです。
更に、汚れに強く、湿気を通しやすいため、カビや藻が発生しにくいという特徴もあります。
アクリルやシリコンに比べ単価が高いです。
但し、確実に10年以上メンテナンスをしたくなく、防水層を痛めたくない場合は、選ぶと間違いありません。
フッ素系トップコートは、汚れをはじき紫外線にも強いため、アクリル系、シリコン系よりも性能面に優れているのが大きな特徴で、耐用年数も長くなります。
気になる点としてはコストが高いため需要は限定的です。
耐用年数は10年程あるため、メンテナンスの間隔をあけたい場合におすすめです。
【オプション】遮熱系トップコート

耐久年数:8~10年
遮熱トップコートは、主成分にウレタン樹脂を使用し、高い耐候性と柔軟性を兼ね備えています。
遮熱効果をもたらす特殊な添加剤を含み、太陽光を反射し、建物内部の温度上昇を抑えます。
平均表面温度が10度くらい下がると言われており、室内温度も1~2度くらい抑えられるようです。
これにより冷房負荷を軽減し、エネルギー効率を向上させます。
また、UV耐性があり、太陽の紫外線による劣化スピード軽減に貢献し、10年ほどの耐久年数があります。
遮熱トップコートは熱環境への対策と防水性の向上を両立させる塗料です。
フッ素トップコートと組み合わせて二重塗りすることも可能です。
ウレタン防水にトップコートが必要な理由
ウレタン防水にトップコートが必要な理由は、ウレタン防水層を紫外線や熱から守ることです。
ウレタンのトップコートの膜厚は、0.2mmほどしかないため、数年経過すると薄くなり剥がれやすくなります。
ウレタンの防水層にトップコートを塗ることで、防水層の劣化の3つの原因から保護することができます。
- 紫外線による劣化を保護
- 気象条件による防水層のダメージ軽減
- 耐摩耗性(たいまもうせい)からの保護
3つの詳細を解説します。
紫外線による防水層の劣化を保護する

紫外線は目には見えませんが、短波長の電磁波であり、当たり続けると生物・物質問わず傷つけていくことになります。
トップコートは紫外線をカットする効果があり、紫外線による防水層の劣化を防ぐことができます。
気象条件による影響によるダメージ軽減

屋上は、毎日、雨、暑さ、寒さ、雪、風など温度変化などにさらされているため、こうした過酷な気象条件によって防水層の劣化を促進します。
ウレタントップコートは耐候性があり、気象条件に強い特性を持っています。
塗り直すことで、これらの外部要因からの保護が強化され、より防水層が長持ちします。
ウレタントップコートの下に防水層がありますので、ウレタントップコートが防水層を守っていると言っても過言でありません。
トップコートが剥がれてしまうと、大事な防水層が、雨や日光によるダメージを受けやすくなります。
耐摩耗性(たいまもうせい)からの保護
屋上は、歩行や保守作業などの物理的な損傷を受け、摩擦の影響で防水層のトップコートが剥がれてしまうことがあります。ウレタントップコートの塗り直しにより、耐摩耗性が向上し、屋上の表面を保護します。
補足情報 防水面の機能性を高める

ウレタン塗膜は表面がツルツルしています。
そのため、トップコートに小さいチップ(砂や粒子)を混ぜて塗ることで、滑り止めの役割を得ることもできます。
ベランダ・共有廊下、階段など人が通行する場所で、ウレタン防水をするのであれば、チップ入りのトップコートを検討しても良いかもしれません。
トップコートの塗り替えを行うタイミング

ウレタン防水 標準のアクリルトップコートは、5年~8年の頻度で塗り替えを行う必要があります。
シリコンや、フッ素樹脂系のトップコートは、耐用年数が10年近くあります。フッ素樹脂系は最も長持ちし、最大12年です。
ウレタン防水のトップコートを塗り替えるタイミングは、耐用年数で判断するだけでなく、劣化症状を点検で確認することが大切です。
では次に、劣化症状が出たときと、耐用年数が来たときの両方を解説します。
トップコートの劣化症状が出たとき

トップコートの劣化症状は、トップコートに粉状のものが付着するチョーキング、ひび割れ、剥がれなどが起こります。
しかし実際は少し剥がれただけですぐに塗り替えが必要なわけではありません。
また、標準のアクリルトップコートは、耐用年数が5年~8年くらいはありますが、気象環境や地震など要因により劣化が基準よりも早いときがあるので、定期的な点検は必ず行うようにしましょう。
トップコートの耐用年数が来たとき
トップコートに劣化症状が見られない場合でも、対応年数が来たときには塗り替えを行いましょう。
点検で気づかない劣化が潜んでいる可能性があります。
<点検の目安>
前回の防水工事から10年以上経過した際は、防水専門業者に定期点検をしてもらうことをオススメします。
トップコートを塗り直しをしなくても大丈夫という方もいますがそんなことはありません。
トップコートを放置すると、雨漏りする可能性もありますし、本来10年以上は確実に持つウレタン防水の耐用年数が短くなってしまいます。
ウレタン防水後、10年に一度くらいの定期的にトップコートの塗り直しは必須です。
トップコートの塗り替え単価と施工例
防水層の状態やメンテナンス頻度・年数によって変わりますが、防水工事をしてから10年後のおよその費用を記載します。
メンテナンスでトップコートのみ施工した場合の金額になります。
| トップコートの種類 | 単価/1㎡ |
|---|---|
| アクリルトップコート | 1500円くらい |
| シリコントップコート | 2000円くらい |
| フッ素トップコート | 2500円くらい |
| 遮熱トップコート | 2500円くらい |
それ以外に、職人代、会社の諸経費がかかります。
面積にもよりますが、100㎡以下であれば 職人1人で数時間で終ります。
100㎡~500㎡くらいで職人2人 1~2日くらいで終ります。
トップコート塗り替えの施工例
トップコート塗り替えの実際の施工例をいくつかご紹介します。
アクリルトップコート施工例


| 工法 | 屋上:ウレタン防水(補強シート入) | 平米 | 屋上75㎡ |
| 金額 | 270万 10年保証 | 工期 | 22日間(塗装工事込み) |
フッ素トップコート施工例


| 工法 | 屋上・バルコニー防水工事 ウレタン防水通気緩衝工法(フッ素仕上げ) | 平米 | 160㎡ |
| 金額 | 150万円 10年保証 | 工期 | 18日(雨が続いたため) |
遮熱トップコート施工例


| 工法 | ウレタン通気緩衝工法(屋上) ※遮熱トップコート入り ウレタン密着工法(庇・架台*ガラスクロス入り | 平米 | 91㎡ |
| 金額 | 80万 10年保証 | 工期 | 8日 |
ウレタン防水のトップコートについてのよくある質問
ウレタン防水のトップコートについてのよくある質問に、防水工事アドバイザーが回答します。
- ウレタン防水トップコートの塗布量の目安はありますか
- ウレタン防水トップコートの塗り重ね間隔はどのくらいですか
- ウレタン防水トップコートは寒冷地でも使用できますか
- ウレタン防水トップコートの乾燥時間はどのくらいかかりますか
- ウレタン防水トップコートと他の防水トップコートの違いは何ですか
ウレタン防水トップコートの塗布量の目安はありますか
ウレタン防水でのトップコートの厚さは0.2mmが一般的です。
ただし、使用するトップコート材によって適切な塗布量・塗布回数は異なります。
トップコートの性能を発揮させるためには、材料メーカーが指定する塗布量を守って施工することが大切です。
ウレタン防水トップコートの塗り重ね間隔はどのくらいですか
ウレタン防水トップコートは、通常1回塗りで完了するため、重ね塗りを行うケースは滅多にありません。
ですが、以下のような場合、耐久性向上のために重ね塗りを行う場合があります。
- 建物への日当たりが極端に強く、紫外線による劣化が懸念される場合
- メンテナンス周期を長くしたい場合
(通常5〜8年程度のところ、2回塗りすることで10年以上程持つと言われている)
塗り重ね時の乾燥時間の目安は、一般的には3〜6時間程度と言われています。
季節によって変動があり、夏場は2〜3時間、冬場は1日程度を要する場合があります。
乾燥時間や季節を問わず、前に塗った層が十分に乾燥していることを確認したうえで次の塗布を行うことがポイントです。
ウレタン防水トップコートは寒冷地でも使用できますか
ウレタン防水のトップコートは寒冷地でも使用できます。
ただし、気温が5℃を下回ると塗料が乾きにくくなり、仕上がりにムラが出ることがあります。
そのため、冬の施工では天候や気温に合わせて時期を調整することが重要です。
寒冷地で工事を行う際は、施工時期の気温や施工面積を考慮した適切な施工計画を提案できる防水工事業者に依頼しましょう。
ウレタン防水トップコートの乾燥時間はどのくらいかかりますか
一般的なウレタン防水トップコートの乾燥時間は以下の通りです。
| 表面乾燥/23℃ | 表面乾燥/5℃ | 完全乾燥/夏季 | 完全乾燥/冬季 |
|---|---|---|---|
| 3時間 | 5時間 | 5時間 | 12時間 |
参照:オルタックエースvol.16b | 田島ルーフィング – デジタルカタログ
日射や通風によっても乾燥時間が変わりますが、基本的には夏季は乾燥時間が短く、冬季は乾燥時間が長くなります。
ウレタン防水トップコートと他の防水トップコートの違いは何ですか
ウレタン防水トップコートは、弾性を保ちつつ防水層の柔軟な動きに追従できる点が特徴で、主に“保護目的”で使用されます。
一方、FRPやシート防水用のトップコートは、素材の硬さや表面の耐久性を重視して設計されており、“強化目的”が中心です。
まず、ウレタン防水のトップコートは下記のような種類があります。
| トップコート 種類 | 特徴 | 耐用年数 | 平米単価 | UVカット |
|---|---|---|---|---|
| アクリル | 費用が安い | 5年~8年 | 500円 ~700円 | 〇 |
| シリコン | 耐熱性・耐寒性がある | 8年~10年 | 800円 ~1000円 | ◎ |
| フッ素 | ・カビや藻が発生しにくい ・最も長持ちする | 10年~12年 | 1200円 ~1500円 | ◎ |
| 遮熱系 | 表面温度と室内温度を抑えられる | 8年~10年 | 1000円 ~1200円 | ◎ |
ウレタン防水以外の工法で使用されるトップコートは主に次のような種類があります。
| トップコート種類 | 特徴 | 耐用年数 | 平米単価 | UVカット | よく使用される工法 |
|---|---|---|---|---|---|
| ウレタン | 弾性があり、下地の動きに追従しやすい | 約8~10年 | 800~1,000円 | ◎ | FRP防水 |
| ポリエステル | 硬度が高く、光沢のある仕上がり | 約7~10年 | 700~900円 | ○ | FRP防水 |
| フッ素 | 紫外線・薬品に強く、最も長寿命 | 約10~12年 | 1,200~1,500円 | ◎ | FRP防水 |
| 水性アクリル・シリコン樹脂 | 紫外線や汚れを防ぎ、美観維持に優れる | 約5~8年 | 500~800円 | ○ | 塩ビシート防水・ゴムシート防水 |
| アクリルエマルション | 防水層の保護目的。コスパが良い | 約5~8年 | 400~700円 | △ | アスファルト防水 |
つまり、ウレタン防水のトップコートは「防水層を守るための仕上げ」、他の防水トップコートは「素材特性に合わせて性能を引き出すための仕上げ」と言えます。
防水層の種類に適したトップコートを選ぶことが、長持ちの秘訣です。
まとめ
ウレタン防水トップコートについて、ご説明してきましたが、防水工事をしてから10年以上経過しているのであれば、点検が必須になります。
また、トップコートの種類によっても耐久年数が変わってきますので、お建物や、ライフスタイルに合ったトップコート選びが大切です。
お近くの優良業者さんの無料点検サービスをしておりますので、お気軽にお問合せください。

