塩ビシート防水に脱気筒は不要?脱気筒をつける基準とは【防水アドバイザーが回答】
脱気筒って不要?必要?
不要か必要かは、業者により意見も割れ、ネットで調べても正しい回答が見つからない…
そうお感じの方へ、実際にあった質問への回答も含めて、防水工事アドバイザーの福島が正解を解説いたします。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
シート防水についての基礎知識をもっと知りたい方は「シート防水とは?」の記事をご覧ください。
シート防水とは?特徴とメリット・デメリットを防水工事の専門家が解説!
脱気筒についての基本知識
脱気筒とは、防水層とコンクリート等の下地の間に溜まった水蒸気を外へ排出する役割を持った主にステンレス製の筒です。建物の屋上の真ん中(1つの場合)辺りに設置されており、60~80㎡に1つの割合で設置されていることが多いです。
国土交通省の規定では、約80㎡に1つ設置することを基本とされています。
屋上の下地は、雨や湿気、建物内の湿気により水分を含んでおり、太陽の熱や寒暖差により水蒸気となります。
水蒸気が防水層と下地の間に溜まると、防水層が膨らみ、しわ、劣化しやすくなります。劣化すると雨漏りに繋がるので、水蒸気を外に逃がす必要があります。
脱気筒を設置することで、結果的に防水層の劣化を防ぎ、雨漏りのリスクが低減します。
脱気筒の種類
脱気筒の種類はステンレス製がよく使われていますが、アルミ製、塩化ビニール製も含めると3種類の脱気筒があります。
特徴 | 強度 | コスト | |
---|---|---|---|
ステンレス製 | 最も採用されている脱気筒 | 強度が強く、錆にも強く耐久性が最も長い | 15,000~18,000円/1個 |
アルミ合金製 | 最も軽量 様々な色や形状に変えることが出来る | ステンレスに比べると強度が劣る | 10,000~14,000円/1個 |
塩化ビニール製 | 本体はステンレス製 キャップが塩ビで作られているため、塩ビシート防水との相性が良い | 本体はステンレス製 キャップが塩ビで作られているため強度が強く、錆にも強く耐久性が最も長い | 15,000~18,000円/1個 |
現状はステンレスの脱気筒が主流です。形は、縦長、ミニステンレスなど場所により採用される脱気筒の形が変わります。屋上は、縦長のことが多く、ベランダは人が歩くことが多いため躓かない様にステンレスミニを採用されることもあります。
塩ビシートで脱気筒は不要ですか?必要ですか?設置する提案と設置しない提案がありました…
【回答】どちらでもOKです。
結論から言いますと、どちらもOKです。脱気筒は、水蒸気や湿気を抜いていくための出口です。
国土交通省の規定によると約80㎡に1つ脱気筒を設置していくのが基本です。
塩ビシート自体に、小さな気泡が抜けるようになっている仕様のため 脱気筒は必ず付ける必要はないと言われています。ドレン排水溝も出口の1つです。
塩ビシートにおいて脱気筒の設置基準はありますか?
【回答】付けるのがOK、付けないのがNGではなく、既存の防水層の状態やお客様の使う用途を考慮して脱気筒の有無を決めていきます。
塩ビシートでも、既存防水層や下地に水がかなり浸透している場合は、脱気筒をつけることもあります。また、屋上やベランダが普段かなりの頻度で歩行している場合は、脱気筒が邪魔になってしまうこともあり付けないほうがいい場合もあります。
塩シート以外は脱気筒をつける必要はありますか?
ウレタン通気緩衝工法は、必ず脱気筒を付けなければなりません。湿気を逃す通気シート(絶縁シート)を敷いているため、蒸気を逃すための脱気筒が必要です。
塩ビシート機械固定法は、元々シートに繊維質が入っており、蒸気が逃げやすくなっています。ディスク版の上に少し浮いた状態でシートが貼られているため、脱気筒は無くても良いと言われています。
脱気筒から水が入ってきませんか?
脱気筒の役目は、夏場の暑い時期に水分がある時に蒸気を逃します。中筒本体は穴が空いておらず、上部に蒸気が少し出るようなゆるみを付けています。そのため雨水などの水分は中に入ることはありません。
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今回のご質問のように、業者により提案や見積りが全く違うケースはよくあります。どちらのご意見も専門的で正しいことを言っているように思えますが、判断が難しいものです。
「費用が安い」という理由で依頼してしまうと、半年や1年で雨漏りするケースもよくある話しです。
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