【2025年最新】塩ビシート防水の工法・単価・耐久性を専門家が徹底解説!
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今、防水工事業界で注目を集める「塩ビシート防水」。その採用率は年々上昇し、従来の主流だったウレタン防水のシェアを上回る勢いです。

なぜ、ビル、マンション、ハウスメーカー、施設、学校などで選ばれているのか?
- 耐用年数12〜18年の高耐久性
- トップコートメンテナンス不要の低コスト維持
- 短工期で施工可能な効率性
- 軽量で建物への負担が少ない
本記事では、防水工事アドバイザーの福島が、塩ビシート防水の特徴、工法選びのポイント、実際の施工事例、そして最新の価格相場まで徹底解説します。防水工事を検討中の方は必見の内容です。

■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
塩ビシート防水(塩化ビニールシート防水)とは

塩ビシート防水は、ビル、マンション、ハウスメーカーの住宅、施設、学校など多様な建物で採用率が高まっている信頼性の高い防水工法です。塩化ビニール(PVC)製シートを用いて強固な防水層を形成し、長期間にわたって建物を雨水から守ります。
同じシート防水の仲間にゴムシート防水がありますが、安価な反面、耐久性で劣るため、塩ビシート防水が市場の主流となっています。
塩ビシートの4つの耐久性能
耐久性能 | 特徴 |
---|---|
耐摩耗性 | 物理的摩擦に強い |
耐候性 | 紫外線や気象条件に強い |
耐圧縮性 | 圧力による変形が少ない |
耐熱性 | 高温環境でも安定 |
塩ビシート防水は広い面積に効率的に施工でき、接合部分を熱溶着して継ぎ目のない防水層を形成します。軽量で施工が容易なため、新築・改修工事の両方に適しています。12〜18年の耐久年数があり、基本的にトップコートのメンテナンスが不要(※)なため、ウレタン防水通気緩衝工法と並ぶ人気工法です。
※塩ビシート防水でもトップコートを塗る場合があります。
塩ビシート防水の2つの工法とその工程

塩ビシート防水には主に2つの工法があり、建物の構造や下地、既存の防水層の状態、予算により選びます。
単価/1㎡ | 雨漏り有効度 | 耐久年数 | 工事音 | |
接着工法 | 5,000円~7,000円 | ★★★☆☆ | 12年~15年 | なし |
機械固定工法 | 6,500円~7,500円 | ★★★★★ | 15~18年 | あり |
それでは塩ビシート接着工法と塩ビシート機械固定法について説明します。
塩ビシート接着工法

塩ビシート接着工法は、プライマー(下地接着剤)を使い、下地に直接貼り付ける方法です。
この工法は、シートと下地が一体化し、高い防水性能と耐久性を実現できます。
施工手順は以下の通りです。
工程1:下地の清掃と補修

工程2:プライマー(下地接着剤)の塗布

工程3:接着剤の塗布

工程4:塩ビシートの貼り付け

工程5:ローラーなどでシートを押さえ、空気を抜く

この工法は、平らな面積が広い屋上や、複雑な形状ではない屋上に採用されます。
また、強風の影響を受けにくいため、高層建築物にも使用されます。
ただし、この工法は既に雨漏りしている建物には向きません。
下地と密着しているため通気性が悪く、建物に含まれた水分を外に逃がすことができないためです。
下地の状態が悪い場合も接着が上手くいかず、浮きや膨れなどが出てしまい、雨漏りが起こってしまいます。
塩ビシート機械固定法

塩ビシート機械固定法は、専用の固定金具(ディスク)とビスを使って絶縁シートを下地に固定し、その上に塩ビシートを敷いて接着させる工法です。
この工法は、接着工法と異なり、雨漏りしている建物にも適しています。
下地の状態に左右されにくく、幅広い建物に採用することができます。
施工手順は以下の通りです。
工程1:下地の清掃と補修

工程2:絶縁シートを敷く

工程3:塩ビ鋼板取付

工程4:ディスクとビスで絶縁シートを固定

工程5:塩ビシートの敷設

工程6:シートを接合(熱溶着など)

塩ビシート機械固定法は、メンテナンスもフリーであり、防水効果も高く、広い屋上の防水工事に適しているため、ビル、マンション、施設、ハウスメーカーの住宅など様々な建物で採用されています。
近年ウレタン防水通気緩衝工法のシェアに迫っている大人気の工法です。
下地との接着面積が少ないため、建物の揺れによる刺激を受けにくく、温度変化による歪みにも強いというメリットがあります。
また、既存防水層の状態が良い場合は、古い防水層を撤去する必要がないため、工期の短縮やコスト削減にもつながります。
ただし、塩ビシート機械固定法は、技術力のある防水工事業者ではないと施工できません。
リフォーム会社や塗装業者によっては施工経験がないという場合もあります。
塩ビシート防水の耐用年数・単価のデータ
塩ビシート防水の耐用年数は、一般的に12〜18年程度とされています。
耐用年数を決める要素として、施工の品質、建物、環境、メンテナンス状況なども挙げられます。
単価については、地域や施工条件によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです:
- 撤去・新設工事:5,000〜7,000円/㎡+既存防水撤去費+産廃費
- 撤去せず、被せ工事:5,000〜7,000円/㎡+既存防水補修費
※改修工事で撤去・新設工事の場合には、必ず既存防水撤去費と産廃費がかかります。
また、初期コストはウレタン防水やFRP防水と比べてやや高めですが、耐久性が高くトップコートの塗り直しも不要なため、長期的なコストパフォーマンスがあります。
塩ビシート防水のメリット・デメリット
次に、塩ビシート防水のメリットとデメリットを紹介します。
塩ビシートはメリットが多い工法ですが、デメリットもあります。
メリット
- 下地の影響を受けない
機械固定法に限りますが、下地の影響を受けずに工事できるため下地の補修を最小限で済ますことができます。 - 軽量性
塩ビシートは非常に軽いため、建物への負荷が少なくなります。 - 施工が速い
大きなシートを使用するため、広い面積を短時間で施工できます。
工期の短縮や人件費の削減が可能になり、コスト削減にもつながります。 - 柔軟性(伸縮性)
塩ビシートは柔軟性・伸縮性に優れているため、建物の揺れや動き、温度変化による膨張・収縮に対応しやすく、ヒビや破れの発生リスクが下がります。 - 長い耐用年数
技術力がある防水工事業者が施工を行えば、12~18年の耐用年数が期待できます。
これにより、長期的に見てメンテナンスのコストを削減することができます。 - かぶせ工法が可能
既存の防水層の上から塩ビシートを施工する「かぶせ工法」が可能です。
これにより、防水層の撤去が不要となるため、工期短縮やコスト削減、廃棄物の削減につながります。
デメリット
- 接合部が弱点
シート同士の接合部が防水効果の弱点です。
技術力がある防水工事業者による丁寧な施工が必要で、施工品質により雨漏りのリスクが下がります。 - 下地の状態が悪いとシート防水が上手く機能しない
下地の状態が悪いと、シートの防水性能を発揮出来ない可能性があります。
施工前の下地処理や補修が重要となり、コストや時間がかかります。 - 複雑な形状に対応しにくい
屋上の配管周りや角部分などの複雑な形状の施工に高度な技術が必要となります。
技術力がある職人が施工しても、漏水のリスクは残ります。 - 紫外線による劣化
紫外線により劣化するため、定期的な点検が必要となります。 - 環境への配慮
塩化ビニールは、製造過程や廃棄時の環境負荷が高いです。
環境配慮が求められる工事では、この点は抑えておく必要があります。
これらのメリットとデメリットを考慮し、建物の用途や立地条件、予算、長期的な維持管理計画を元に、塩ビシート防水が適しているか判断する必要があります。
塩ビシートは特に防水工事の専門家に相談することをおすすめします。
塩ビシート防水が向いている箇所・建物
塩ビシート防水は多くの建物で活用できますが、特に以下の3つのケースで効果を発揮します。
- 施工面積が広くフラットな屋上
- ハウスメーカーの建物
- 改修工事
一つずつ解説していきます。
施工面積が広くフラットな屋上

塩ビシート防水は、施設やビル、マンション、工場などの面積が大きくフラットな建物の施工に適しています
- 連続して敷くことで接合部分を最小限に抑えられる
- フラットだとシートが敷きやすく均一な仕上がりにできる
- 施工速度が比較的速いので面積が広くても効率的に作業できる
- 雨水を流す勾配を作りやすい
マンション、ビル、大型商業施設、病院や学校、工場の屋上、広い駐車場の屋上階などが挙げられます。
広い面積でシートを連続して敷くことができ、接合部分が少ないほど防水性能が高く、雨漏りリスクを低減できます。
また、広くてフラットな建物の場合、工期を短縮することもできるので、大規模修繕でのコスト削減もすることができます。
必要に応じ、断熱材と組み合わせることで、断熱性能の向上も図れます。
ハウスメーカーの建物

多くのハウスメーカーが塩ビシート防水を採用しています。
- 施工が比較的容易で工期を短縮できる
- 軽量なため建物への負荷が少ない
- コストパフォーマンスが良い
- 防水性能が高く建物を長持ちさせることができる
- 耐久性が高く長期保証に対応できる
塩ビシートは伸縮性・柔軟性に優れているので、建物の揺れ・動きに追従でき、防水性能を長期間保つことができます。
ハウスメーカーの標準化された設計にも合わせやすく、品質管理も行いやすいため、多くのハウスメーカーの戸建てで採用されています。
改修工事

改修工事にも塩ビシート防水は適しています。
- 既存の防水層の上に施工できる「かぶせ工法(オーバーレイ工法)」
- 軽量なため、建物への負荷が少ない
- 工期が短い
- さまざまな下地材に対応できる
既存防水がアスファルト防水やウレタン防水の防水改修工事に採用されています。
既存の防水層を撤去する必要がない場合が多いため、コスト・納期・廃棄物の削減にもつながります。
塩ビシート防水と他の防水工法との違いと比較
塩ビシート防水と他の主要な防水工法の違いを比較します。
塩ビシート | 加硫ゴムシート | ウレタン防水 | アスファルト防水 | |
---|---|---|---|---|
耐用年数 | 12~18年 | 10~12年 | 10~15年 | 15~18年 |
単価/1㎡ | 5,000円~7,500円 | 5,000~6,000円 | 5,000~7,500円 | 5,000~7,500円 |
施工期間/100㎡辺り | 5日~7日 | 7~10日 | 5~12日 | 7~12日 |
重量・負担 | 軽い | 軽い | 軽い | 重い |
追従性 | 高い | 特に高い | 高い | 低い |
メンテナンス | 不要 | 5~8年にトップコート | 5~8年にトップコート | 5~8年にトップコート |
塩ビシート防水とウレタン防水の違い
塩ビシート防水とウレタン防水の違いは価格や耐久年数も多少違いますが、主な違いはメンテナンスです。
ウレタン防水は5~8年に一度トップコートの塗り直しが必要ですが、塩ビシート防水はメンテナンスが不要です(トップコートを塗る場合もあります)。
採用率 | 価格 | メンテナンス | 耐用年数 | |
---|---|---|---|---|
ウレタン防水通気緩衝工法 | 高い | 中程度 | 5~8年にトップコート | 13~15年 |
塩ビシート防水機械固定法 | 高い | 高め | 不要 | 15~18年 |
シート防水は塩ビシート、アスファルトルーフィングシート、加硫ゴムシートなどを重ねて貼る工法である一方、ウレタン防水はウレタン樹脂、FRP、水性系防水(下地調整剤)などを塗布して防水層を形成する工法です。両者には明確な特性の違いがあります。
耐用年数は塩ビシートの方が長く、メンテナンスも比較的容易です。ただし、建物の構造(鉄骨、ALC、RC、木造など)や既存の防水種類によって適合性が異なるため、これらの条件を見極めた上で、貼る工法と塗る工法のどちらが適しているかを決定する必要があります。
塩ビシートは均一な厚みを持ち、シートの品質もぶれることはありません。
対照的に、ウレタン防水は施工する「職人の腕」が防水層の性能に大きく影響します。また、シート防水は施工速度が速く大きな面積の施工に適している一方、ウレタン防水は液体を塗布して硬化させる方法のため、複雑な形状にも対応しやすいというメリットがあります。
塩ビシート防水と加硫ゴムシート防水の違い
塩ビシート、加硫ゴムシートではそれぞれ厚み、耐久年数が違います。
厚み | 耐用年数 | 外部刺激 | 単価 | |
加硫ゴムシート防水 | 1.2mm~2.0mm | 10~12年 | 弱い | 5,000~6,000円 |
塩ビシート防水 | 1.5mm~2.5mm | 12~18年 | 中程度 | 5,000~7,500円 |
塩ビシート防水と加硫ゴムシート防水は、どちらもシート系の防水材料ですが、その特性には重要な違いがあります。最も顕著な違いは厚みで、塩ビシートは1.5mm~2.5mmあるのに対し、加硫ゴムシートは1.2~2.0mmと薄くなっています。ただし、この厚みの差自体が防水性能に直接影響するわけではありません。
加硫ゴムシートは熱への耐性が高く耐候性に優れていますが、外部からの物理的刺激に弱いという重大な欠点があります。この弱点により、外部からの衝撃で破れが生じて雨漏りの原因となることがあります。また、加硫ゴムシートは5~8年ごとに専用のトップコートによるメンテナンスが必要となるため、長期的な維持管理コストも考慮する必要があります。
塩ビシート防水とアスファルト防水の違い

建物の負荷 | 単価 | 改修工事 | メンテナンス | |
---|---|---|---|---|
アスファルト防水 | 重い | 5,000~7,500円 | 難しい | 5~8年ごとにトップコート |
塩ビシート防水 | 軽い | 5,000~7,500円 | 簡単 | 不要 |
塩ビシート防水とアスファルト防水は、施工方法と特徴に大きな違いがあります。アスファルト防水は高い防水性能を誇る一方、施工に時間がかかり、重量が重いため建物への負荷が大きいという特徴があります。
このため、建物への負担軽減を考慮し、既存のアスファルト防水の改修工事では、塩ビシート防水を選択するケースが増えています。
塩ビシート防水は軽量であるため建物への負荷を最小限に抑えられる上、シートの柔軟性によって建物の揺れや動きにも柔軟に対応できるという大きなメリットがあります。
耐久性の面では、アスファルト防水は優れた性能を持ちますが、経年劣化によって脆くなりやすい欠点があります。対照的に、塩ビシート防水は紫外線に対してやや弱いものの、定期的な点検と清掃を行うことで長期間にわたって防水性能を維持することが可能です。
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塩ビシートについてご説明してきましたが、塩ビシート防水は確かな技術力がある業者のみ施工出来る工法です。
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