雨漏りを感じた場合の屋根工事の対応とは?
もしかしたら雨漏りをしているかも、そんな時は迷わず屋根のメンテナンスが必要となります。
しかし、対応がわからず困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
防水工事アドバイザーの福島が、雨漏りが発生した際の屋根工事の対応を、まとめてみました。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
1. 屋根からの雨漏りの原因
屋根からの雨漏りの原因は、これらが主な原因です。
これらのどのような原因で雨漏りが発生しているのか、まずは把握するところから始めなくてはいけません。
1-1.雨や台風など自然環境による影響の雨漏り
雨や台風など自然の力による影響の雨漏りは、屋根からの雨漏りの大半の原因です。
普段の雨風では発生しない雨漏りなのに、悪天候によって雨漏りが発生してしまうケースです。
1-2.屋根の経年劣化による雨漏り
次に原因として多いのが、屋根の経年劣化による雨漏りです。
屋根材の劣化により雨水が入り、そこから建物内部に雨が浸透していくことがあります。
この場合、屋根の不具合を突き止める事で改善が可能です。
1-3.工事不良の屋根の場合
そもそも
屋根工事の施工不良により、雨漏りが発生してしまう事もあります。
多くあるのが、小屋根や1階の上に2階が乗っている建物の場合、それらの近辺からの雨漏りです。
屋根を上部の外壁の中に入れ込む納め方をするのですが、その納める板金の長さが短い事で建物に水が回ってしまうケースです。
水というのは勾配方向の逆に登ってしまう性質があり、屋根に勾配が付いていても一度勾配と逆方向に上がってから勾配方向に流れていきます。
勾配と逆に雨水が上がる際、板金の外壁の中に入り込んでいる長さが足りないとオーバーフローしてしまうので、内部に雨水が入り込んでしまいます。
1-4.屋根上作業をした後に雨漏りが発生した
意外とある雨漏り原因が、屋根の上で作業をした後に雨漏りが発生し始めたという事です。
例えば、太陽光発電装置を付けた後やアンテナ工事など、
屋根上作業をした後に雨漏りが発生する事少なくありません。
その場合は、屋根上で作業をした業者に問い合わせてみる事も一つの方法となります。
2. 雨漏りを感じた時の対処法
雨漏りを感じたら、このようなポイントで雨漏りの状態を確認してみましょう。
2-1.雨漏りはどこで発生しているのか
まずは、雨漏りがどこから発生しているのかを確認しましょう。
1階の天井なのか、2階の天井なのか、屋根裏で音が鳴っているのかを確認しましょう。
2-2.どんな症状が発生しているのか
天井に雨染みが出ているのか、水がポタポタと垂れているのか、カビ臭いのか等、確認しましょう。
2-3.どのような時に雨漏りが発生するのか
雨が普通に縦に降っている時なのか、風が付いた横殴りの雨の際なのか、霧雨程度で発生しているのかを確認しましょう。
2-4.業者に分かりやすく伝えるために
これらの状態を落ち着いて捉え、
メモや写真を撮っておくと良いでしょう。
雨漏りが起きている状態をしっかり把握する事で、後に業者が来た時に説明しやすく対処がしやすくなります。
この部分が曖昧なために、雨漏りを早期に改善する事が出来ない事があります。
雨漏りの状態をきちんと伝える事で、業者にとって有益な情報となりますので適切な修繕が可能となります。
焦らず、雨漏りの除板を把握するようにしましょう。
3. 屋根の雨漏りが見受けられたら即座に業者にお願いしよう
屋根の雨漏りが見受けられたら、
即座に業者にお願いして対応してもらう事が大事
となります。
その理由は、
放置しておく事で雨漏りがどんどん浸食してしまうから
です。
雨漏り当初は屋根材自体の補修で済む程度であっても、放置しておく事で屋根の下地や屋根裏の構造体、断熱材、室内の内装材等、どんどん至る所に被害を浸食させてしまいます。
放置しておく事で、どんどん被害が広がってしまいます。
しまいには建物に致命的な影響を与えてしまい、建物崩壊へとつなげてしまいます。
近年大地震が多くなっている状態において、雨漏りで建物がもろくなっている事は大変致命的な状態となってしまいます。
少しの揺れで建物が倒壊してしまう事もありますので、とても恐ろしい事です。
大地震にも耐えられる建物とする為には、
早めの雨漏りの対処
で丈夫な建物を維持するようにしましょう。
4. 屋根から雨漏りが起きている場合の緊急の対処法
屋根から雨漏りが起きている事がわかったら、業者が来る前にご自分で何とか対処したいと思われる方も多いと思います。
屋根は高所ですので、素人のお客様が対処するのはオススメ出来ません。
しかし、どうしても対処したい場合は、これらのポイントで緊急対処をしてみましょう。
4-1.ブルーシートを張る
屋根全体をブルーシートで覆う事で、屋根の雨漏りを
一時的に回避
させる事が出来ます。
ブルーシートはホームセンターで取り扱っておりますので、どなたでも手に入ります。
ブルーシートを屋根の上に掛けて、縄や石などでしっかり固定します。
ブルーシートの固定がしっかりしていないとすぐに剥がれてしまいますので、意味が無くなってしまいます。
4-2.コーキング充填
雨漏りが起きている屋根部分に、コーキング充填で雨水をシャットアウトする方法です。
コーキングもホームセンターにて取り扱っており、数百円で購入出来ます。
変性シリコン系シーリングが、板金屋根やスレート、瓦屋根に適しております。
4-3.防水アルミテープの貼り付け
防水アルミテープは防水効果を発揮するテープですので、雨漏りが発生している個所に張る事で雨水の浸入を妨げる事が出来ます。
色は銀色しかありませんので、屋根の色合いによっては目立ってしまいます。
緊急処置
という事で使うので、色が違うのはやむを得ないと言えるでしょう。
5. いつまでたっても雨漏りが直らない場合の原因
せっかく処置をしているのにもかかわらず、いつまでたっても雨漏りが直らないケースもございます。
このようなケースの場合、雨漏りが直らない場合があります。
5-1.雨漏りの原因を特定せずにただやみくもの修理を行っている
雨漏りというのは、
原因を特定して修繕
していかないと間違いなく直る事はありません。
しかし、お客様も業者も双方雨漏りの原因を特定できておらず、やみくもに修理をしているようでは、いつまでたっても雨漏りの撲滅とはなりません。
そのような業者ではいつまで経っても雨漏りは直りませんので、他の業者に依頼する事をオススメします。
5-2.知識不足の業者に依頼している
雨漏りというのは建築に対し知識が無いと直す事は出来ませんので、知識が無ければ原因究明とはなりません。
ただホースで水を掛けて原因を探しているような業者では、雨漏りは直らないでしょう。
水を掛ける原因究明方法もございますが、それでだめな場合は次々と違う方法で原因究明をしていく事が鉄則となっております。
知識が無いと思ったら、その業者には依頼しないようにしましょう。
6. 業者選びは慎重に行うべき
雨漏りを見受けられたら、すぐに修理しましょう。
しかし、焦ってはいけません。
屋根の修理には悪徳業者が絡むことがありますので、慎重に業者選びをしなければいけません。
残念ながら屋根の業者というのはピンキリであり、中には悪徳業者が潜んでおります。
そのような業者につかまってしまったら、雨漏りは絶対に改善しません。
急がなくてはいけませんが、あくまで業者選びは慎重に行うようにしなければいけません。
7. 屋根からの雨漏りの際にかかる費用の目安とポイント
屋根に雨漏りが起きている事を感じたら、一刻も早く雨漏りの修理を行わなくてはいけません。
雨漏りは素早く対処する事が大事なのですが、ほとんどの方が雨漏りに対し即座に対応が出来ていないのが現状です。
その理由は、かかってしまう費用が不明解なゆえに、踏み切れないようです。
屋根からの雨漏りの際の費用は、これらのポイントを把握しておくと便利です。
7-1.屋根からの雨漏りにかかる費用の目安
屋根からの雨漏りが発生した際、程度にもよりますが
部分的な修理で5万円程度であり、大掛かりな修理となると40万円程かかってしまう事もあります。
7-2.屋根と外壁の取り合いからの雨漏り
屋根の雨漏りでよくあるパターンは、屋根と外壁の取り合いからの雨漏りです。
屋根と外壁の取り合い部分には雨水が滞留しやすいので、外壁と屋根の取り合い部分の内部に屋根板金を15cm以上入れて納めているのが定番となっております。
外壁と屋根の取り合い部分に滞留してしまう雨水は、10cm程侵入してしまう性質がありますので、10cm雨水が入り込んでも問題が無いように納めないといけません。
その為、屋根板金屋さんは外壁と屋根の取り合い部分に15cm以上屋根板金を入れて納めております。
屋根板金屋さんの中では定番で当たり前の話なのですが、中にはこの仕組みを理解しておらず数センチ程度外壁の中に伸ばして屋根板金を納めている場合があります。
雨水のたまりは10cm程度入り込みますので、数センチ程度では対応できなく雨漏りと発展してしまいます。
対処方法は、雨漏りが発生している屋根と外壁部分を解体し、屋根板金を15cm以上入れて納めた上に外壁施工を行う事で解決する事が出来ます。
このパターンの雨漏りは、1階の屋根と2階の外壁との取り合い部分、出窓の取り合い部分、玄関上の小屋根部分の取り合い部分等に発生する事が多くあります。
7-3.天窓廻りからの雨漏り
屋根上に天窓が付いている場合、天窓廻りの屋根板金納めが良くない事により、雨漏りが発生してしまう事があります。
天窓廻りは雨漏りが発生しやすいので、綿密な屋根板金の納めを施さなくてはいけません。
しかし、未熟または技量が足りない屋根板金屋さんが施工した場合、板金の納めが良くなく雨漏りが発生してしまう事があります。
天窓廻りに雨漏りが1度発生してしまうと、軽度な補修程度では雨漏りが納まらない場合が大半です。
天窓廻りの雨漏りは、天窓を1度取り外して綿密な屋根板金の納まりにより取り付け直す事が1番の効果的な方法です。
しかし、天窓廻りというのはどうしても雨漏りがしやすい部材でもありますので、それほど天窓が必要ではない場合は、天窓を撤去して屋根にする事も1つの方法となります。
7-4.棟板金や谷板金の取り合いのコーキング劣化
棟板金や谷板金の取り合い部分には、コーキング施工が施されております。
屋根は直射日光を直に浴びやすい部分ですので、コーキングの劣化も非常に早く劣化が早く発生してしまい、雨漏りへと発展してしまいます。
棟板金や谷板金まわりのコーキングは全て撤去し、新しいコーキングを充填する事で雨漏りを回避させる事が出来ます。
経年により棟板金や谷板金が浮いていて変形している場合は、コーキングの打ち直しだけでは解決できない場合があります。
その場合は、棟板金や屋根板金の交換を行う事がオススメです。
7-5.スレート屋根の割れやヒビによる雨漏り
スレート屋根は素材が破損しやすく、屋根に上って圧力をかけたり経年により割れやヒビが発生してしまったりする事があります。
軽度な割れやヒビであればコーキングにて補修が可能ですが、理想は割れやヒビが入ったスレートを葺き替える事です。
スレートは部分的に葺き替えが可能ですので、破損した部分のみの葺き替えが可能です。
部分的にスレートを葺き替えると吹き替えた部分のみ色が変わって見えてしまいますが、使い続けていく事で色合いが既存のスレートと馴染みます。
色合いの違いが気になる場合は、塗装する事で見た目が気にならなくなります。
7-6.トタンのサビや穴あき
ほんの少しサビが発生してしまう事でどんどんサビの範囲が広くなってしまい、トタン自体を侵してしまう事で雨漏りを発生してしまいます。
トタンのサビは、軽度なサビの場合は塗装をして新たな膜を作る事でトタンのサビの悪化を防ぐ事が出来ます。
また、重度なサビの場合は塗装ではまかないきれませんので、葺き替えをする事をオススメします。
この際、ガルバリウム鋼板に葺き替えする事で、軽くて錆びにくい理想的なトタン屋根とする事が出来ます。
7-7.瓦屋根の漆喰の劣化
瓦屋根の下地となっている漆喰は、経年劣化等により崩れて効力をなさなくなってしまいます。
効力のなくなった漆喰から雨水が浸透してしまい、雨漏りが発生してしまいます。
劣化してしまった漆喰は全て取り除き、新規で漆喰を充填します。
7-8.瓦のずれ
何らかの負荷がかかって瓦がずれてしまうと、ずれた部分から雨水が浸透してしまい雨漏りが発生してしまいます。
瓦がずれてしまったら、所定の位置に戻す事で雨漏りを防ぐ事が出来ます。
この場合、ずれた瓦にヒビや欠けが無いかを確かめて、問題が無ければずれた瓦を元の位置に戻します。
もしヒビや欠けが合った場合は、新しい瓦を用いて取り付けます。
8. 多くの修理費がかかる場合は新規葺き替えの検討も
40万円も屋根の修理に支払うのであれば、屋根を新規で葺き直した方がお得となります。
金額によっては修理が得なのか葺き替えが得なのかが変わりますので、修繕前にきちんと判断するようにしましょう。
9. 屋根修理の際は事前に見積もりを取る
屋根の雨漏り修理の際は必ず事前に見積もりを取って、修理すべきなのか新規で葺き直すべきなのかを検討する事もとても大事な判断となります。
業者によっては、修繕だからと事前に見積もりを提出しない場合もあるようですが、工事というのは双方で金額に納得した上で行う流れが鉄則ですので、見積もりを出さないで修繕をするという事は本来有り得ない流れとなります。
10. 屋根からの雨漏りは火災保険で修理費が出る場合がある
雨漏りの原因が風などの自然災害の場合、火災保険の風災被害で保険料が降りる場合があります。
台風などの著しい風害により雨漏りが発生し始めたのであれば、間違いなく風災被害に該当します。
屋根の修理費用はお安くありませんので、ご利用の火災保険に風災補償がある場は是非ご利用するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
雨漏りが気になったら、これらのポイントで雨漏りを改善するようにしましょう。
雨漏りはどのお宅でも発生する可能性がありますが、大事なのはその際にきちんと対応をする事です。
当たりまえの事ですが、雨漏りしているのに放置してしまうと、大きな被害を受けてしまいます。
屋根からの雨漏りは屋根裏を伝って室内に入り込んでくるのですが、屋根裏の中や天井材に雨水の影響を与えてしまいます。
水で濡れる程度と思われるかもしれませんが、その水はやがて湿気を作りカビを作り建物を侵してしまいます。
しまいには構造体にも浸食してしまい、建物の構造自体がダメになってしまいます。
雨漏りの放置は想像以上に危険ですので、絶対に放置しないようにしましょう。
ご自分の建物を末永く使っていきたいのであれば、雨漏りが見受けられたらすぐに対応をしなければいけません。
屋根からの雨漏りを防いで、末永く快適に建物を使い続けていくようにしましょう。