シーリング工事とは?シーリング材の種類と特徴・手順を画像付きで解説!

「建物の寿命を左右する縁の下の力持ち」
それが、シーリング工事です。
普段、あまり目にすることはありませんが、建物の防水性を維持し、雨水の侵入を防ぐ上で非常に重要な役割を担っています。
もし、シーリングの劣化を放置してしまうと、雨漏りによる建物の腐食、ひいては大規模な修繕工事につながる可能性もあります。
この記事では、防水工事アドバイザーの福島が、シーリング工事の基礎知識から、適切なタイミング、シーリング材の種類と特徴、そして実際の工事手順までを徹底的に解説いたします。

■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
シーリング工事とは?

シーリング工事とは、建物の外壁材やサッシなどの部材同士の隙間(目地)に、防水性や気密性を持つシーリング材を充填する工事のことです。
別名「コーキング工事」とも呼ばれますが、目的は同じです。
隙間があると雨水の侵入が起こり、雨漏りの原因になります。
埃や汚れが隙間に蓄積し、建物の劣化の原因にもなります。
定期的にシーリング工事を行うことは、建物を雨漏りや劣化から守ることに繋がります。
シーリング工事の効果

シーリング工事を行うと以下の4つの効果があります。
①防水性の確保
外壁から雨水が浸入するのを防ぎ、建物の内部構造を保護します。これが最も重要な目的です。
②柔軟性の確保
柔軟性を作る事で、地震などの揺れなどが起こった時に、外壁などにヒビを作らなく済むので、外壁の劣化を防ぎ、防水性を高める事が出来ます。
シーリング自体に防水性がありますが、他の部位に水が浸入する原因を作らないようにするので、防水性が高いと言えます。
③気密性の確保
隙間を埋めることで、建物内の気密性を高め、断熱効果や防音効果を向上させます。
④美観の維持
隙間を目立たなくすることで、建物の外観を美しく保ちます。また、汚れの侵入を防ぐ効果もあります。
シーリング工事は、防水、断熱、耐震性、防音、美観の維持など様々な効果があります。
シーリング工事を行うタイミング

シーリング工事を行うタイミングは、以下の4点です。
- 耐用年数が経過した
- 劣化症状が見られた
- 外壁・防水工事を行うタイミング
- 大規模修繕のタイミング
シーリング材は、時間の経過とともに劣化していきます。
劣化したシーリング材を放置すると、防水機能が低下し、建物の寿命を縮める原因となります。
適切なタイミングでシーリング工事を行うことが、建物を長持ちさせる秘訣です。
耐用年数が経過したとき

シーリング材には種類ごとに耐用年数の目安があります。
一般的には5年~10年程度が目安とされています。
この時期が近づいたら、専門業者に点検を依頼し、シーリングの状態を確認することをおすすめします。
劣化症状がみられたとき

耐用年数に関わらず、以下のような劣化症状が見られた場合は、早急なシーリング工事が必要です。
劣化症状 | 状態 |
---|---|
ひび割れ | シーリング材の表面に細かいヒビが入っている状態。 |
肉やせ | シーリング材が目地から剥がれてしまっている状態。 |
剥離 | シーリング材が目地から剥がれてしまっている状態。 |
硬化 | 本来柔軟性のあるシーリング材が硬くなり、弾力がなくなっている状態。 |
ベタつき | シーリング材の表面がベタベタしている状態。 これは可塑剤が溶け出しているサインです。 |
これらの症状は、雨漏りのサインである可能性も高いため、見過ごすことなく、専門業者に相談しましょう。
外壁塗装・防水工事を行うとき

外壁塗装を行う際には、シーリング工事も同時に行うのが一般的です。
外壁塗装とシーリング工事で、足場を別々に設置する手間と費用を省くことができます。一度に両方の工事を行うことで、メンテナンス時期を合わせることができ、管理も楽になります。
また、新しいシーリングと塗装で、建物全体が美しく仕上がります。
屋上防水においてもシーリング工事は建物を守る上で重要です。

屋上は雨や紫外線に常にさらされる過酷な環境下にあり、防水層の接合部や立ち上がり部分、排水口まわりといった、特に水の浸入が起こりやすい箇所をシーリング材でしっかりと保護します。
屋上は温度変化が激しいため、その変化に強く、耐久性の高いシーリング材を選ぶことが大切です。
シーリングが劣化すると雨漏りの原因となり、建物全体の寿命を縮めてしまうため、定期的な点検とメンテナンスを怠らないようにしましょう。
屋上防水についてはこちらの記事をご覧ください。
大規模修繕のタイミング

マンションやビルなどの大規模修繕工事の際には、シーリング工事は必ずと言っていいほど実施されます。
これは、建物全体の防水性能を長期的に維持するために不可欠な工事だからです。
大規模修繕の計画段階で、シーリングの状態をしっかりと調査し、適切な工事内容を検討しましょう。
大規模修繕についてはこちらの記事をご覧ください。
シーリング材の種類と特徴
シーリング材には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
シーリング材の種類 | 主な特徴 | メリット | デメリット | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
1成分形 | 施工が容易、DIY向き | 手軽に使える | 耐久性は2成分形に劣る | DIY、簡易的な補修 |
2成分形 | 高耐久、高性能 | 耐久性が高い、性能調整が可能 | 混合の手間がかかる、専門知識が必要 | 外壁、防水が必要な箇所 |
シリコン系 | 耐候性、耐水性、耐薬品性に優れる、安価 | ガラスまわり、水まわりに強い、比較的安価 | 塗料との密着性が悪い、可塑剤移行による汚染の可能性あり | ガラスまわり、水まわり |
変成シリコン系 | 耐候性、塗料密着性に優れる | 外壁塗装に適している、汚染しにくい | シリコン系よりやや高価 | 外壁の目地 |
アクリル系 | 低温時施工が可能、比較的安価 | 比較的安価 | 耐候性・耐久性が低い、肉やせしやすい | ALCパネルの目地(近年は使用頻度減少) |
ウレタン系 | 高耐久、耐薬品性、耐摩耗性、追従性 | コンクリートのひび割れ補修に強い | 耐候性が低い、上塗り塗装が必要 | コンクリートのひび割れ補修、動きの大きい目地 |
建物の種類や用途、予算などを考慮して、最適なシーリング材を選ぶことが重要です。
1成分形と2成分形


引用:https://www.bond.co.jp/bond/detail/004299011249/ https://www.bond.co.jp/bond/detail/002333003701/
1成分形は、カートリッジに入っており、そのまま使用できるタイプ。
施工が容易で、DIYにも適しています。空気中の水分と反応して硬化するタイプ(湿気硬化型)が一般的です。
2成分形は、主剤と硬化剤を混ぜ合わせて使用するタイプ。
1成分形に比べて耐久性や性能が高く、プロの現場でよく用いられます。硬化速度を調整できるメリットもあります。
シリコン系
耐候性、耐水性、耐薬品性に優れており、ガラスまわりや水まわり、外部の配管など塗装を塗らない(露出)場合に使用されます。比較的安価に入手できるのもメリットです。
塗料との密着性が悪いため、塗装が必要な箇所には不向きです。また、可塑剤が移行しやすく、周囲を汚染する可能性があります。
変成シリコン系
シリコン系と同等の耐候性を持ちながら、塗料との密着性に優れています。
シーリングの上から塗装を塗らない(露出)場合に使用します。
そのため、屋上の笠木のつなぎ目や、外壁タイル目地のシーリング材として広く用いられます。シリコン系に比べると価格がやや高めです。
アクリル系
比較的安価で、低温時でも施工が可能です。
耐候性や耐久性が低く、肉やせやひび割れが起こりやすいため、近年では使用頻度が減っています。
主にALCパネルの目地などに使用されます。
アクリル系メーカー | 材料名 |
---|---|
サンスター技研株式会社 | 1250L SA7500 |
コニシ株式会社 | 塗装下地コーク ノンブリード |
ウレタン系
耐久性、耐薬品性、耐摩耗性に優れており、動きの大きい目地に追従する性能も高いため、コンクリートのひび割れ補修などに適しています。
耐候性が低く、紫外線に弱いため、上から塗装で保護する必要があります。
ウレタン系メーカー | 材料名 |
---|---|
サンスター技研株式会社 | 989TypeNB速攻 999TypeNB PU9000typeNB PU979速硬化 |
コニシ株式会社 | KU920 |
オート化学工業株式会社 | オートンQィックシーラント オートンノンブリードQィック オートンイクシード オートンサイディングシーラント オートンシーラー101Aノンブリード オートンシーラー101NB オートンCP-1 |
シーリング工事の手順【画像付きで手順を紹介】
シーリング工事は、適切な手順で行うことで、その効果を最大限に発揮できます。
ここでは、一般的な打ち替え工事の7つの手順について解説します。
1.既存のシーリング材を除去(打ち替え工事の場合)

劣化した既存のシーリング材を、カッターナイフなどを使用して丁寧に除去します。この工程は、新しいシーリング材の密着性を高めるために非常に重要です。
2.バックアップ材・ボンドブレーカーを取り付ける(必要があれば)
バックアップ材(発泡ポリエチレンなど)は、目地の奥行きが広い時に、シーリング材を充填する深さを調整し、隙間を埋めて厚み15㎜くらい残してシーリングします。
ボンドブレーカー(剥離紙やテープ状のもの)は、木造のサイディングの新築時の建物で使われています。
シーリング面が三面接着の隙間の場合、建物が揺れたときに三面から引っ張られるため、シーリングが切れやすくなります。
そのため、一面にボンドブレーカーを入れることにより、二面接着になるので、建物の動きに追従し、シーリングが切れにくくなります。
改修の時も、ボンドブレーカーを入れた方がより良いですが、手間がかかるため入れない業者もいます。
3.マスキングテープで養生する

シーリング材を充填する箇所に沿って、マスキングテープを丁寧に貼ります。これにより、シーリング材がはみ出したり、周囲を汚したりするのを防ぎ、仕上がりを美しくします。
4.プライマーを塗布する

シーリング材と下地との密着性を高めるために、プライマー(下地処理剤)を塗布します。プライマーの種類は、シーリング材や下地の材質によって使い分けます。
5.シーリング材を充填する

シーリングガンにシーリング材をセットし、目地に均一になるように丁寧に充填していきます。この際、気泡が入らないように注意することが重要です。
6.充填したシーリング材をヘラでならす

充填したシーリング材を、専用のヘラで押さえつけ、表面を滑らかに均一にします。余分なシーリング材を取り除き、目地との密着性を高める効果もあります。
7.マスキングテープを剥がし乾燥して完了

シーリング材が完全に乾燥する前に、マスキングテープを剥がします。
基本的には、シーリングした当日に剥がしますが、タイル面の溝が深い場合は、マスキングテープを剥がしたときに、シーリング材が引っ張られ、髭のようになってしまい見た目が悪くなるため、タイル面のみ残す場合があります。
乾燥時間はシーリング材の種類や気温によって異なります。乾燥後、シーリング材の状態を確認し、問題がなければ工事完了となります。
シーリング(コーキング)については、こちらの記事もご覧ください。
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シーリング工事は「建物の寿命を左右する縁の下の力持ち」であり、技術力が必要とされる工事です。
シーリング工事だけでなく、屋上・外壁の防水工事は、経験豊富な工事業者の選定が重要です。
業者の選定を間違えると、早期に雨漏りが起こってしまったり、工事費用を高く支払うなどの問題が生じます。
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