雨漏りの二次被害はどのようなものですか?
雨漏りの二次被害について、防水工事見積もり.comの防水工事アドバイザー福島が回答します。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
雨漏りの二次被害についての質問と回答
【 質 問 】
雨漏りの二次被害はどのようなものですか?
【 回 答 】
屋上防水からの雨漏りを放置すると、さまざまな二次被害が発生する可能性があります。
簡単にお伝えすると
- 壁や天井のクロスが剥がれ
- 天井ボード腐る
- 室内の湿気が増加することでカビやシロアリが発生する
- 断熱性能が大幅に低下するため、夏暑く冬寒い
- 漏電や設備故障の原因となる
- 建物が錆びやすくなり、建物が壊れやすくなる可能性がある
の被害に繋がります。
もう少し詳細にお伝えしていきますね。
(1)室内の被害
分かりやすいところで言うと、雨漏りによって壁や天井のクロスが剥がれます。
また木工の天井ボードの場合、水が入ってしまうと腐ってします。
天井ボードの張替も必要になるケースも出てきます。
(2)断熱材の性能低下
屋上の断熱材に水が入り込むため効果が半減してしまうかもしれません。
断熱材は、主に空気を含むことで熱伝導を防ぐ役割を果たします。
しかし、雨漏りで水が染み込んでしまうと、断熱材の熱伝導がしづらくなります。
一言で言うと、水を吸うと断熱材の効果が半分以下になるということです。
特に、繊維系の断熱材(グラスウールやロックウールなど)や、発泡系の断熱材(ポリスチレンフォームなど)は、水を吸収しやすく、断熱性能が著しく低下します。
繊維系断熱材(グラスウール、ロックウールなど)は、吸水率が1%増加するごとに、断熱性能が約5~10%低下すると言われています。
仮に、雨漏りで水が10%吸収した場合、断熱性能は50~100%低下します。
発泡系断熱材(ポリスチレンフォームなど)も、断熱性能が30~50%程度低下することが報告されています。
屋上の断熱効果が低下すると、暑い夏場の冷房効果が下がるだけでなく、冬場の暖房効果も低下します。
また、断熱材を交換するとなるとかなり費用もかかってしまいます。
(3)健康被害を受ける
雨水が天井や壁に入ってしまうと、カビが発生しやすくなります。
カビが繁殖すると、室内の空気質が悪化し、喘息やアレルギー反応がでたりと、健康被害を引き起こす可能性があります。
カビ特有の臭いは生活していて大変不快になります。
雨漏りしたら定期的に喚起を行ってください。
風通しをすること、カビが生えるのを伏せぐことができます。
<補足>
雨漏りした木造は、シロアリが好むので大量発生しやすくなるため注意が必要です。
(4) 電気設備の故障、データの損失
雨漏りによって電気配線やコンセントに水が入ると、漏電したり故障の原因になります。
また電気の配線が漏電を起こした場合、壁内部の木材やホコリなどに引火し火災になる事もあります。
雨漏りによって、大事な書類、写真、電子機器などの大切なデータが水に浸かり、データの損失や破損が発生することもあります。
データは元に戻すことができないこともあるため、雨漏りの2次被害として大きな損失が出てしまうこともあります。
雨漏りしたら、電気保安協会か近くの電気工事会社に連絡し、点検をしてもらうことをオススメします。
(5)構造体の劣化
雨水が防水層を通り抜けて建物内部に浸入すると、コンクリート(鉄筋)や鉄骨は腐食し、錆びを引き起こします。
木造は、腐ります。
RC造(鉄筋)の影響
雨漏りが続くと鉄筋は錆びていきます。
鉄筋の表面が腐食して鉄筋の断面積が減少します。
鉄筋が25%ほど腐食すると、引張強度(鉄筋が持つ強さ)が約40%ほど減少するというデータがあります。
*日本建築学会「鉄筋コンクリート構造設計指針」参照
これは、建物の耐久性や耐震性に大きな影響を与えると言っても過言ではありません。
鉄骨造(ALC造含む)の影響
日本の建物に採用されるケースが増えた鉄骨造は、金属(主に鉄)を使用しているため、雨水による腐食のダメージが大きいです。
特に、鉄骨内部に雨水が入りこむと、酸素との反応によって酸化が進み、錆び(腐食)が発生します。
表面だけでなく内部にも浸透し、腐食が進行します。
鉄骨の引張強度や圧縮強度が低下したり、鉄骨の破断や変形したりするリスクが出てきます。
結果、構造の安定性が失われる可能性があります。
木造の場合
木造の場合は、木材が雨によって腐りやすくなります。
日本は湿気が多い環境ですので、より腐朽が進行します。
当然、木材が腐ると、強度は大幅に低下します。
腐朽が進んだ木材は、もろくなり、建物の耐久性や耐震性が著しく損なわれることになります。
結果、地震や強風に対しても弱くなり倒壊しやすくなることも考えられます。
雨漏りの2次被害まとめと対策
雨漏りをそのまま放置しておくと、住居の二次被害だけではなく、構造体にさまざまな悪影響を及ぼし、将来的に建物の安全性を低下させるリスクが出てきます。
雨漏りしてからの2次被害にもあわないためにも下記対策が必須です。
- 15年以上、屋上防水をしていないのであれば、専門業者に依頼し点検をしてもらいましょう。
- できるだけ速やかに屋上防水工事をし、雨水が建物内部に浸入しないようにしましょう。
その際、雨漏りに強い工法を選択しましょう!
できれば工事後も、5年おきくらいに定期点検を実施してもらましょう!
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