塩ビシートの機械固定工法と接着工法の違いとは?
防水工事アドバイザーの福島が、塩ビシートの機械固定法と接着工法の違いについて解説いたします。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
塩ビシート機械固定工法とは?
塩ビシート機械固定工法は、専用のディスク盤で絶縁シートを固定し、その上に塩ビシートを敷き、シートを接着させて固定する工法です。
絶縁シートを専用のディスクで躯体に固定します。
塩ビシートの縁(立ち上がり部分)には専用の鋼板を取り付け固定します。
シートの接着は、熱風や専用の接着剤を使用し、端部はシールします。
ディスクの周りも専用のヒーターで接着します。
塩ビシート自体が中の蒸気や水分を逃がす構造になっているので、雨漏りしている場合にも施工が可能です。
下地の撤去が不要で、広い屋上(陸屋根)に最適です。
塩ビシート接着工法とは?
塩ビシート接着工法は、塩ビシートを専用の接着剤で貼り付ける工法です。
機械固定法との違いは、絶縁シートの固定がないため、工期の短縮と騒音対策になります。
下地の上に塩ビシートを敷き、専用の接着剤で貼り付けローラーで圧着します。
シートのつなぎ目はシールします。
下地の撤去がなく、作業工程もシンプルなため、比較的短い工期で仕上がり、改修工事に向いています。
下地が平らではない場合は、施工が難しい場合があります。
ベランダ防水や新築時の屋上防水で採用されることが多い工法です。
また、工事の際の騒音も少ないため、騒音対策が必要な建物(ホテル・旅館・施設)の改修工事にも採用されます。
通気性がないため雨漏りしている建物には不向きです。
機械固定工法と接着工法を比較
同じ塩ビシート防水でも、機械固定法と接着工法では費用や耐久年数が変わります。
それぞれの特徴を詳しくご説明します。
工期と価格相場
ウレタン防水などの塗膜系防水に比べ、防水塗料を乾かす工程がないため、工期は短く済みます。
機械固定法は、工程数が多いため、接着工法より工期・費用が多くかかります。
耐用年数・雨漏り対応・騒音と臭いの比較
耐用年数 | 雨漏り有効度 | 騒音 | |
---|---|---|---|
塩ビシート機械固定法 | 15~18年 | ★★★★★ | 騒音が発生する |
塩ビシート接着工法 | 12~15年 | ★★★★☆ | 騒音の発生が少ない |
耐久年数
機械固定法の方が長く15~18年程度です。
接着工法は12~15年程度です。
雨漏り有効度
雨漏りしている建物には、機械固定法の方が向いています。
機械固定法は、躯体と塩ビシートの間に、絶縁シートを敷くため、防水層に溜まった水分や蒸気を逃してくれます。
塩ビシート自体が蒸気を逃す構造になっているため、脱気筒を設置しなくても徐々に蒸気を逃してくれます。
騒音
機械固定法は、専用のディスク盤や、鋼板を取り付ける際に、ドリルの音が発生します。
メンテナンスについて
機械固定法、接着工法ともに、ウレタン防水などの他の工法と違い、トップコート塗り替えはメンテナンスフリーです。
しかし、シート面以外のメンテナンスは必要となります。
塩ビシートのメンテナンスについては、こちらもご参考にしてください。
機械固定、接着工法をお勧めするケース
当サイトに依頼された塩ビシート防水の相談実績についてご紹介します。
ほとんどの方が、塩ビシート機械固定法を選ばれています。
それぞれの工法のおすすめのパターンは下記になります。
機械固定をおすすめする場合
- 雨漏りしている建物に向いている
- 15年以上持たせたい
接着工法をおすすめする場合
- ベランダなど狭い範囲
- コストを重視したい
- 躯体の厚みが足りないなど機械固定法ができない場合
- 騒音問題などで機械固定法を選べない場合
シート防水について詳しくはこちらもご覧ください。
塩ビシートの得意な優良業者を最大3社紹介
防水工事見積もり.comでは、塩ビシートを得意としている専門業者の見積もりを取ることができます。
塩ビシート機械固定法と接着工法、どちらがよりご自身の建物に合っているか、詳しく知りたい方は、防水アドバイザーの福島までご相談ください。