防水工事でも超重要!?コーキングで失敗しない方法!
防水工事を行う上でコーキングが重要となってくることはご存知ですか?
コーキングとは、材料部材の隙間を充填して埋めるゴム状の材料です。
防水性を高めないといけない部位に使われる事が多く、気密性や美観性を高める為にも役立ってくれます。
今回はコーキングの失敗しない方法について防水アドバイザーの福島が詳しく解説していきます。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
コーキングの役割についてはこちらの記事で紹介しています。
コーキングの劣化原因や対処法
コーキングはゴム状でとても性能が良い材料なのですが、紫外線等の外的刺激により劣化していき、半永久的に使う事が出来ない材料です。
寿命は、およそ10年程度と言われています。
またサイディングのコーキングは、ALC板やコンクリート壁等のコーキングより寿命が短いと思った事ありませんか。
それは、他の外壁材と比べるとサイディングのコーキングは厚みが非常に薄いという事です。
環境的な劣化が起きてしまう事は珍しくないので、劣化は仕方のない事と思うようにしましょう。
施工後数週間で劣化してしまった場合は、明らかな施工ミスとなるので業者に問合せして施工し直しを行ってもらいましょう。
経年劣化例
コーキングが劣化し切れてしまうと、目地での防水性が無くなってしまいますので、目地内部の水分が浸透してしまいます。
建物内部の構造材などに影響を与えてしまい、劣化へと繋げてしまいます。
最悪な状態にならないようコーキングの状態を常にチェックし、劣化が見受けられたら打ち直しを行いましょう。
コーキングの打ち直し注意点
コーキングの打ち直しの注意点を解説します。
部分的な打ち直しはしない
外壁でコーキングが1番劣化してしまうのは、太陽光が良く当たる南面です。
南面から劣化し始めていきますが、部分的に打ち直しをするのではなく、打ち直しを行う場合は外壁全面1度に行うようにしましょう。
打ち増しはオススメ出来ない
コーキング劣化の際に、既存のコーキングの上に新しいコーキングを打つ「打ち増し」という方法もございますが、こちらはオススメ出来ません。
上から増し打ちしても中で劣化が進んで空洞が出来てしまう事がございます。
悪循環なコーキングになってしまいますので、オススメ出来ません。
コーキングは打ち直しがオススメ
古いコーキングはカッターなどで綺麗に取り除き、目地の清掃とプライマーを塗布した後、新規でコーキング充填を行いましょう。
年々劣化が激しくなっていく古い建物のクッション代わりになってくれますので、新規でコーキングを打つ事は建物全体の為の役にも立ちます。
コーキングは可能であればプロに頼むべき
コーキングはホームセンターにも売っておりますので、素人さんでも簡単に手に入ります。
そのため、お客様自身で打ち直しされる方も多く見受けられますが、オススメ出来ません!
コーキング作業は何故か簡単に見えてしまいがちなのですが、実はとても難しいのが現状です。
たかがコーキングと思うかもしれませんが、扱いが非常に大変な材料と言えます。
安易な考え方でコーキング施工をし、全く意味をなさなかったパターンも良く見受けられます。
きちんと建物に馴染むコーキング工事を行いましょう。
定期的にコーキングを打ちかえる事が、建物の寿命を延ばす事に繋げる事が出来ます。
外観だけじゃない!室内にも必要なコーキング!
コーキングといえば外部の目地にばかり目が行ってしまいますが、室内にも必要な個所は沢山ございます。
- キッチンと壁の隙間
- 洗面台と壁との隙間
- 浴室の接合部分
- その他、各家具や備品類と壁との隙間
水廻りの備品との隙間に設けるべき理由は、水の浸入を防ぐ為に充填し、水廻りでは無い部分との間に設ける理由は、汚れ等の浸入を防ぐ為に行います。
屋内は紫外線等の外的刺激からの影響が低いので外部と比べると長持ちする傾向があります。ただし、常時水がかかる部位に関しては、汚くなり取り替えなくてはならない事があります。
室内コーキングの特徴
室内で打つコーキングの部位は、隙間(溝)の裏側が空洞になっている場合が大半ですので、底がございません。その為、バックアップ材を入れて底を作った後にコーキング充填を行います。
バックアップ材を適切に入れるとなると、大変な作業となってしまいます。
室内のコーキング充填は、プロに頼む事をオススメします。
水回りコーキング
水回りは湿気が多いので、コーキングにカビが発生してしまいますよね。
洗ってもカビ取り洗剤を掛けても取れないカビ入りのコーキングは、撤去して打ち直す事をオススメします。
浴室などの湿気が多い部分に適しているコーキングは、防カビ剤入りのコーキングです。しかし、それが使われていない場合は、簡単にカビを浸食させてしまいます。
お風呂のコーキングは、外壁などの一般的なコーキングとは違い非常に細い形状なのが特徴です。
細い形状のコーキング打設は非常に難しいので、DIYで行う事はオススメできません。
防水は物凄く大事な事ですので、必ずプロのコーキング屋さんにお願いしましょう。
お風呂のコーキングは何メートルも無いので、プロに施工してもらっても安価で済ませる事が出来ます。
DIYで行って失敗して建物に影響を与えてしまったら、プロに頼んだコーキング料金よりはるかに高くなってしまいます。
また水廻りにコーキングを施した後、一般的に2~3時間で表面硬化していきます。表面硬化がしてきた状態を確認した上で、使いましょう。
内壁コーキング
内壁のビニールクロスとの入隅や建具廻りとの隙間にも、コーキングを施します。
ここで使うコーキングは一般のコーキングとは違い、防水性や防汚性というよりは、構造材の伸縮により入隅等の取り合いが開いてしまった場合、充填をして目立たなくさせるという使い方となります。
多少の構造材の動き、揺れの小さい地震等に対応してくれるので、入隅が開いてカッコ悪くなる事も防ぐ事が出来ます。
このように、内壁にもたくさんコーキングをすべき部分がございます。
上手に活用すると快適な室内を作る事が出来ますので、是非コーキングを上手く活用しましょう。
水の浸入を防ぐだけで、建物の寿命を大幅に増やす事が出来ますので、とても重要な事です。
コーキングの三面接着とは
コーキングの溝は左右と底の3つの面がありますが、底の1面に接着させない施工方法が鉄則となっております。
DIYでコーキングを行うとそれが出来ず、短い期間でコーキングを劣化させてしまう事があります。
三面接着してはいけない理由
目地底に接着して三面接着になってしまうと、コーキング材が本来行わなければいけない作用の伸縮性を発揮する事が出来ません。
三面接着で動きが鈍くなってしまい、コーキング材の膨張や伸びないコーキングになってしまい、大きな負担がかかりヒビや破損の原因となってしまいます。
サイディング等の既製の外壁材には、あらかじめ目地底にボンドブレーカーという特殊なフィルムが張り付けてあります。
これは、目地底にコーキングが付着しないよう三面接着防止の為に取り付いています。
コーキングのリフォームの際に既存のコーキングを撤去した際、ボンドブレーカーも一緒に取り除かれてしまう事があります。
この際、プロは新規でボンドブレーカーを入れます。
しかし、素人さんはボンドブレーカーの意味を解っていないので、ボンドブレーカーが無くなってしまった目地底そのままの上にコーキング充填を行ってしまいます。
結果的に三面接着となり、コーキングの作用を発揮する事が出来なくなってしまいます。
三面接着をするとどうなるのか
三面接着で仕上がったばかりの表面は綺麗ですので、何の違和感もありません。
しかし数年後にはコーキングが劣化し、早いお宅だと3年で劣化したなんていうパターンもあります。
コーキングには三面接着がいかにダメなのか、これで理解できると思います。
特に外壁のコーキングは高さもありますので、安全性も考えるとプロにお任せするのが1番です。
適したコーキング下地により、精度の高いコーキングに仕上げる事が出来ますので、最低10年はコーキングを持たせる事が出来ます。
安易に考えてDIYでコーキングを行っている方は非常に多いですが、結果短期間でのリフォームとなり工費がかさんでしまっています。
お安い金額ではありませんので、余計なお金をかけない為にもプロにお任せする事をオススメします。
気泡が入ったコーキングは大丈夫なのか?
コーキング施工後に気泡が見受けられた場合、このような状態で放置していいのか気になってしまいますよね。
何故、コーキングに気泡が生じてしまったのでしょうか。
気泡の原因とは
空気の巻き込みや反応によりガスが発生した事による膨れが主な原因は次のような理由があります。
施工時の気温と湿度の環境の悪さ
施工時の気温の高さや低さにより、コーキング内部に反応が起こる事で、気泡を発生させてしまう事があります。
また、施工時の湿度が60%以上ある中での施工でも、反応を起こして気泡を発生させてしまう事があります。
現場撹拌時に練り込まれた空気
2成分系のコーキングを使う場合、現場で攪拌機にて既定の時間材料の撹拌を行います。
その際、どうしても空気を練り込んでしまう事があるので、それによりコーキングの中に気泡を作ってしまう事があります。
この現象は、2つの材料を撹拌する方式の2成分製のコーキングの場合は、大小の気泡が起きてしまうのは避ける事が出来ない傾向があります。
充填やヘラ押えが適切ではない
コーキング充填時やヘラ押えをきちんと行う事で、コーキング自体に含まれてしまった空気を上手く放出する事が出来ます。
当たり前の事ですが、これらの技量が伴っていない職人さんも多いので、気泡をコーキングに発生したまま硬化させてしまう事があります。
確認または対処方法
気温や温度の原因の場合は、明らかに致命的な気泡が生じている事が殆どです。
撹拌の際の練り込まれた空気の場合は、ミクロ級の気泡ですので全く問題がありません。
どちらの原因にしても、硬化後のコーキングを手で押して確かめてみましょう。
押して厚みがある=細かい気泡ですので問題はありません。
押してみて明らかに厚みが無く薄いと感じる=コーキングの精度を発揮しない状態です。
必ず打ち直して、高い精度のコーキングにしましょう。
コーキングに生じている気泡は、施工業者に直してもらう事が可能です。
全て無料で直してもらって当然ですので、ご自分で余計な手間を加える事は絶対にせず、連絡をしましょう。
コーキング打ち替えの鉄則
コーキング打ち替えの場合、必ず既存のコーキングを撤去した後に新しいコーキングを打設するのが鉄則です。
しかし、業者によっては、このようなパターンがあります。
5-1. 下地の防水材を切ってしまう
既存コーキング撤去でカッターを入れる際、下地の防水紙に傷を付けてしまうという話ですが、コーキングの目地の下地部分は胴縁や貫等の木下地が必ず入っているので、防水紙に傷を付けてしまうというのは一切ありません。
外壁の素材に影響を与えてしまう
既存のコーキングを綺麗に撤去することが大事なのですが、その際に、外壁に傷をつけたり負担がかかるような撤去は良くありません。
打ち増しをした方がコーキング量の節約になる
古いコーキングと新しいコーキングは密着しませんので、打ち増ししても何の意味もありません。
このような事を言う業者がいますが、全て間違った考え方です。
コーキングのリフォームは、既存のコーキングをいかに綺麗に取り外すかによって、新しいコーキングの効果を発揮させる事が出来ます。
打ち増しで問題ないという業者は仕事を解っていなく、ただ仕事の量をこなしてお金にしようとしている業者さんと言えるでしょう。
外壁のコーキングはとても大事な部分ですので、確実な施工方法で効果を高く発揮させるようにしなければなりません。
コーキングが余計な場所についてしまったら…
コーキング工事を行っていた時、うっかりコーキングに手を触れてしまった…このような事良くありますよね。
コーキングは、手についてしまうとベトベトで扱いに非常に困ってしまいます。
石鹸では反応しないので、幾ら一生懸命に洗っても綺麗に落とす事は出来ません。
手に付いてしまったら
手などの余計な部位に取り付いてしまった場合は、ラッカーシンナーで取り除くと綺麗になります。
ただし、プラスチックや塗装してある金属に塗布してしまうと、溶けてしまう事があります。
その場合は、塗装の薄め液を使うと良いでしょう。
少量のコーキング付着でしたら、マニキュアのリムーバーも役に立ちます。
薬剤を使った後は、きちんと洗って薬剤を落としましょう。
そのままにしておくと、手が荒れてしまう可能性があります。
洋服に付いてしまったら
薬剤などを一切付けずに硬化する事を待ちましょう。
カサカサに硬化したら、揉み込むとポロポロと取れていきます。
コーキングの中でも変性シリコンは洋服等に付くと硬化しにくい性質を持っているので、硬貨まで待つのは時間がかかってしまいます。
その場合に役立つのが、ケシゴムです。
消しゴムでコーキングが付いた部分を消すと、消しゴムのカスにコーキングが付いていきます。
ちょっと時間がかかりますが、確実に落とす事が出来ますので根気よく行ってみましょう。
洋服等の布材に薬剤を付ける事は、繊維を傷めてしまうので望ましくありません。
コーキングが付いてしまった部位により取り方が全然違い、間違ってしまうと余計な負担を与えてしまうので、適した除去方法で綺麗にしましょう。
まとめ
防水工事におけるコーキングの大切さについてご説明いたしました。
正しいコーキング工事を行うことで、建物の寿命を延ばすことが出来き、防水工事や、外壁工事の防水性をより生かすことが出来ます。
これからの建物維持にはとても大事な事なので少しでも知っていただけると嬉しいです。