アスファルト防水とは?3つの工法の特徴と単価・施工手順を解説

更新日:2026年1月29日 BY 福島 慎介
アスファルト防水とは?

アスファルト防水は主に3種類の工法があり、過去から現在にいたるまで大規模建築や公共工事に使われてきた歴史と信頼性がある防水工法です。国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書にもアスファルト防水の施工について記載されています。

2024年の一般社団法人日本防水材料協会の集計データによると、防水工事の19.4%がアスファルト防水が採用されており、改質アスファルト防水のトーチ工法(6.6%)を合わせると26%のシェアとなり、シート防水と同程度の高いシェアとなっています。

アスファルト防水の採用率
<2025年アスファルト防水の採用率は18.8%>

画像引用元:一般社団法人 防水材協会

大型のビルやマンション、学校など、特に広い面積の建物に最適なアスファルト防水ですが、従来のアスファルト防水の採用は減少し、シート防水が採用される傾向も強まっています。

アスファルト防水は他の防水工法と比較しても建物へ負荷もかかるため、メリットデメリットの理解は必須です。

本記事は、防水工事アドバイザーである福島が、アスファルト防水の基礎知識について解説します。

この記事の監修者
福島 慎介
福島 慎介

神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積もりや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。

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アスファルト防水は歴史が長い実績ある工法
<アスファルト防水は歴史が長い実績ある工法>
アスファルト防水は重量があり建物に負荷がかかる
<アスファルト防水は重量があり建物に負荷がかかる>

アスファルト防水とは、加熱して溶解したアスファルトと、シート状の防水材「ルーフィング」を、層を重ねて防水層を形成する工法です。

「熱工法」と呼ばれ、防水工事の中で最も古くから行われており、絶対的な実績のある防水工法として、現在でも公共工事や大型の新築物件に採用されています。

一方、現在の改修工事で主に使用されているのは「改質アスファルトシート」を利用した常温粘着工法やトーチ工法と呼ばれる工法あり、熱工法に比べてさらに温度特性や耐候性が強化されています。

改質アスファルトシートは、公共工事や大型の新築物件に加え、ルーフバルコニーなどにも一部採用されることがあります。

改質アスファルトシート防水はこちらでより詳しく解説しています。

アスファルト防水のメリット・デメリット

ビルの屋上にに施工されたアスファルト防水
<アスファルト防水は耐久性が求められる屋上に施工される>

アスファルト防水のメリット・デメリット、耐用年数、単価などは以下の通りです。


メリット
  • 信頼性の高い確かな工法押えコンクリート仕上げが可能
  • 施工後すぐに防水性能を発揮する
  • 雨にも強く耐久性に優れている
デメリット
  • 複雑な形状の建物や木造の建物には施工不可
  • 施工中に熱や臭いが発生するため、近隣への配慮が必要
  • 施工可能な技術力を持つ業者が限られている
耐用年数 12~18年ほど
単価 5,000円~7,500円


アスファルトで密着させながら防水シートを積層するため、塗膜防水とシート防水のメリットを集約したような施工方法です。


耐久性に非常に優れるため、ビルや大型施設、大きなマンション、駐車場がある屋上に数多く施工されています。


一方で、他の防水層と比較すると重量があるため、耐震性のない建物や木造の建物には向いてません。


アスファルト防水は、どんな建物に向いていますか?


アスファルト防水が向いている建物
<アスファルト防水が向いている建物>


構造はRC造で、200㎡以上ある広い面積の建物に向いています。アスファルト防水の材料の重量が塩ビシート防水やウレタン塗膜防水にくらべて約3倍くらいあります。


    • アスファルト防水:約7kg/1㎡


    • 塩ビシート防水:約2kg/1㎡


    • ウレタン塗膜防水:約1kg/1㎡


そのため、ある程度広い面積と構造がコンクリート造ですと相性が非常に良いです。


大型の分譲マンション・学校・病院・施設の新築物件で採用されることが多いですが、塩ビシート防水が採用されるケースも増えています。


特に比較的に規模が小さい建物の場合、塩ビシート防水が採用される傾向にあります。

理由としては、塩ビシートは耐用年数が15年~20年と長く、30年も耐久性が持つ工法も出てきており、工期も短く、メンテナンスの手間も比較的少ないことが挙げられます。



改質アスファルトシート
<改質アスファルトシートを敷く作業>


改質アスファルトシート防水は、標準のアスファルトに高分子ポリマーを添加して改良し、耐久性や柔軟性を向上させた防水工法です。


低い温度におけるひび割れリスクや、高温で柔らかくなることによる機能低下を防ぐことができます。屋上防水工事だけでなく、地下室の防水層としても使用されています。


改質アスファルトシートは環境に配慮されており、リサイクルできる材料を使用しています。耐候性にも優れ、防水層の耐用年数を延ばす事ができるシートです。



アルファルト防水には主に下記の3つの工法があります。


    • 熱工法


    • トーチ工法


    • 常温粘着工法(冷工法)


熱工法は、溶融釜で溶かしたアスファルトを貼り重ねて施工する方法ですが、大型のビルやマンション・施設(学校や病院など)の新築時時に採用されることが多いです。改修工事では、トーチか冷工法(正式名 常温粘着工法)を採用する事が一般的です。


熱工法


アスファルト防水 熱工法を施工中
<アスファルト防水 熱工法を施工中>


アスファルト防水熱工法の断面図
<熱工法の断面図>


アスファルト防水の熱工法は、アスファルトを高温(200℃から270℃)に熱し、これを流し込んで防水シートを重ねていく工法です。


日本では100年以上前から行われている歴史ある工法で、信頼性が非常に高い工法として公共工事や大型施設などで広く採用されています。


〇メリット
アスファルトがすぐに固まるため防水層の形成を簡単に行えます。


〇デメリット
高温でアスファルトを溶かす際に異臭や煙が出るため、火災発生のリスクや、近隣住民への配慮が必要となります。


アスファルト防水 熱工法
<アスファルト防水 熱工法作業>


また溶融釜で溶かした2~4枚のアスファルト防水をすると、重さで建物に負荷もかかります。

歴史があり信頼性も高いため、多くの新築工事で採用されていますが、施工できる防水工事業者は減っていることもあり、改修工事で使われることは減少しています。


変わるものとして、冷熱併用工法「ストライプ工法」や、ノンケトル冷熱併⽤⼯法「BANKS⼯法」などがあります。


参考:
ストライプ工法:https://tajima.jp/waterproof/asphalt01/stripe/
BANKS工法:https://tajima.jp/waterproof/asphalt01/banks/


トーチ工法


トーチ工法の作業

<トーチ工法の作業>


トーチ工法の断面図
<トーチ工法の断面図>


改質アスファルトシート防水のトーチ工法は、改良されたアスファルトシート(改質アスファルトシート)を高温(800~1000℃)のトーチバーナーで炙りながら施工する方法です。

〇メリット
上述の熱工法では、アスファルトの溶解とシートの貼り付けは別工程で実施する必要があるのですが、トーチ工法ではバーナーでシートを炙りながら貼り付けていくため効率的に施工が可能となっています。


〇デメリット
注意点としては、シートを熱しながら貼り付けていく際、完全に密着させるには施工業者の技術レベルが求められます。


改質アスファルト防水 トーチ工法
<改質アスファルト防水 トーチ工法作業>


常温粘着工法(冷工法)


常温粘着工法(冷工法)の作業
<常温粘着工法(冷工法)の作業>


常温粘着工法(冷工法)の断面図
<常温粘着工法(冷工法)の断面図>


改質アスファルトシート防水の常温粘着工法は、合成繊維不織布を使用した改質アスファルトシートを直接躯体に接着します。合成繊維不織布の使用は、アスファルトシートにおいてしばしば問題となる「亀裂の発生」を防ぐことができます。


アスファルト防水の熱工法が3層から4層の積層となることに対し、改質アスファルトシートを使用する工法の場合、1層から2層で十分な防水効果を得ることができます。


改質アスファルト防水 常温粘着工法(冷工法)
<改質アスファルト防水 常温粘着工法(冷工法)作業>



アスファルト防水の各工法にはそれぞれ独自の特徴とメリット・デメリットがあります。


  改質アスファルトトーチ工法 改質アスファルト常温粘着工法(冷工法) アスファルト防水熱工法
特徴 改質アスファルトを用いたルーフィングシートを熱で貼り付ける工法。 改質アスファルトを用いた粘着付きルーフィングシートを貼り付ける工法。 アスファルトルーフィングを、溶融したコンパウンドで貼り付ける工法。高い信頼性と実績を誇ります。
メリット ・防水性が高く、接着性も強い

・既存のアスファルト防水の上にかぶせることができる

・マンションや大型建物の実績数が多い

・広範囲を一度に施工可能なため工期短縮が可能

・剥離紙をはがして接着するので、アスファルトが溶けたときの臭いがしない

・火を使用しないため室外機などが設置されていても、焦げたり溶けたりしない

・歴史が古いのでデータなどが豊富

・130年の実績がある

・水密性や耐久性に優れ、寿命年数も17年以上

・厚ミリは6~10ミリと一番分厚い

デメリット ・高温の火で炙るため、下地を痛める可能性がある

・煙や臭いが籠りやすい

・火を使うため室外機などがあると焦げたり、溶けたりと危険

・定期的(5~8年毎に)にトップコートをする必要がある

・剥離紙をはがして接着するので、溶かした時よりも密着度が低い

・定期的(5~8年毎に)にトップコートをする必要がある

・小さい面積の建物には向いていない

・非常に重いので建物に負荷がかかる

・工事中の匂い・煙がでる

単価/㎡ 6,500~7,500円 5,000~6,000円 10,000~15,000円


熱工法は、100年以上の歴史を持ち、耐用年数も長いので、多くの新築工事に採用されています。一方、修繕工事ではトーチ工法か冷工法のどちらかの工事を選択されるのがほとんどです。



アスファルト防水の3つの工法の施工手順(やり方)を紹介していきます。プライマーの塗布までは同じ工程になりますが、パラペットから違いが出てきます。


1つずつ紹介していきます。


アスファルト防水熱工法の施工手順


熱工法の施工手順
<熱工法の施工手順5ステップ>


工期:3週間~2か月/300~1,000㎡


アスファルト防水の施工は以下のステップに従って行われます。


①下地清掃


高圧洗浄などで汚れや不純物を除去します。


②プライマー塗布


下地が乾燥したことを確認できたら、下地にプライマーを塗布し、防水シートの密着性を高めます。


③アスファルトの加熱する


 アスファルトを適切な温度まで加熱します。一般的には、専用の加熱機を使用します。


④防水層を作る


加熱したアスファルトを均一に下地に塗布します。


アスファルトが熱いうちに防水シートを敷設します。


シートの継ぎ目はオーバーラップさせ、アスファルトを追加で塗布して密着させます。


ローラーで圧着: シートをローラーで圧着し、密着性を高めます。


これを、2~4枚のルーフィングシートを積み重ね、標準は4ミリ、高耐久は6ミリの防水層を形成していきます。


⑤トップコート仕上げ


防水シートの上にもう一層アスファルトを塗布し、仕上げます。


必要に応じて、砂や石を撒いて保護層を作ります。


これにより、防水層が外部のダメージから守られます。


改質アスファルト防水トーチ工法の施工手順


トーチ工法の施工手順
<トーチ工法の施工手順6ステップ>


工期:7日~12日/100~150㎡


①下地清掃


最初に、施工面の全ての汚れや不純物を徹底的に除去し、防水層がぴったりと接着できるようにします。


②下地処理およびドレン設置


下地の状態を整え、建物の状態に応じて補修を行った後、雨水の排水のためにドレンを設置します。ドレンは、水の滞留を防ぎ、長期的な防水性能を保つために重要です。


③プライマー塗布


防水シートを接着させるために、プライマーを均一に塗布します。プライマーは下地と防水シート間の結合を促進し、耐水性を高めます。


④パラペットにシートの貼り付け


パラペット立ち上がり部分には特に注意深くシートを貼り付けます。このエリアは水漏れが発生しやすいため、細部にわたる防水が重要です。


⑤アスファルトシート貼り付け


トーチバーナーを使用してシートの裏面と下地を加熱し、アスファルトを溶解させながらシートを接着します。この方法は、シートが下地に密着することで高い防水効果を発揮します。


⑥トップコート塗布


紫外線や悪天候から防水層を守るため、最後にトップコートを塗り完了です。トップコートで仕上げることで、シートの耐候性を向上させ、長期間、防水効果を保つことができます。


改質アスファルト防水常温粘着工法(冷工法)の施工手順


常温粘着工法(冷工法)の施工手順
<常温粘着工法(冷工法)の施工手順7ステップ>


①下地清掃


最初に、施工面の全ての汚れや不純物を徹底的に除去し、防水層がぴったりと接着できるようにします。


②下地処理およびドレン設置


下地の状態を整え、建物の状態に応じて補修を行った後、雨水の排水のためにドレンを設置します。ドレンは、水の滞留を防ぎ、長期的な防水性能を保つために重要です。


③プライマー塗布


防水シートを接着させるために、プライマーを均一に塗布します。プライマーは下地と防水シート間の結合を促進し、耐水性を高めます。


④パラペットにシートの貼り付け


パラペット立ち上がり部分には特に注意を払い、シートを貼り付けます。ここは水漏れが起こりやすいため、特に丁寧な作業が求められます。


⑤アスファルトシートの貼り付け


粘着付きの改質アスファルトシートを下地に対して貼り付けます。この工法では、高温での加熱が不要であり、施工環境に応じた対応が可能です。


⑥繋ぎ目のシーリング


シートの接合部にはシール材を充填し、水の浸入を防ぎます。これにより、全体の防水性が強化されます。


⑦トップコート塗布


紫外線や悪天候から防水層を守るため、最後にトップコートを塗り完了です。トップコートで仕上げることで、シートの耐候性を向上させ、長期間、防水効果を保つことができます。



アスファルト防水についてのよくある質問に、防水工事アドバイザーが回答します。


    • アスファルト防水とウレタン防水の違いは何ですか?


    • アスファルト防水の施工時期はいつが適していますか?


    • アスファルト防水の補修方法はどのようなものがありますか?


    • アスファルト防水にはどのような規格や基準がありますか?


    • アスファルト防水の施工業者を探す際の注意点は何ですか?


アスファルト防水とウレタン防水の違いは何ですか?


アスファルト防水とウレタン防水は、メリット・デメリット、耐久性やコストなどに違いがあります。


  メリット デメリット 耐久年数 単価(1㎡あたり)
アスファルト防水 ・耐久性に優れている
・100年以上の実績があり信頼性が高い
・複雑な形状の建物や木造の建物には施工できない
・防水層が重く建物に負担がかかる
10〜30年 5,000〜15,000円
ウレタン防水 ・複雑な形状の建物にも施工できる
・防水層が軽く建物に負担がかからない
・5〜8年ごとにトップコートの塗り直しが必要
・職人の腕次第で仕上がりの品質が変わる
10〜15年 5,000〜7,500円


一般的にウレタン防水は一般住宅で主流な工法の一つで、アスファルト防水は学校やビルなど大型の建物で採用されている工法です。


アスファルト防水の施工時期はいつが適していますか?


アスファルト防水の施工に適しているのは、気温や湿度が安定している春(3〜5月)や秋(9〜11月)です。


気温が高い夏や梅雨の時期、低温や湿気の多い冬は施工不良を起こしやすい季節です。


天候が穏やかな時期を選ぶことで、仕上がりも安定し、長持ちしやすくなります。


アスファルト防水の補修方法はどのようなものがありますか?


アスファルト防水の補修方法は、主に以下の3つです。


劣化症状 補修方法
表面のひび割れ・小さな傷 シーリング材を充填する
一部分の膨れ・浮き 切り込みを入れて膨れや浮きを解消し、アスファルトシート(パッチ)を重ね貼りする
広範囲な膨れ・剥離・破断 劣化した既存防水層を撤去して新規防水層を施工する


アスファルト防水にはどのような規格や基準がありますか?


アスファルト防水の主な規格・基準は以下の通りです。


分類 特徴 主な規格・基準名
材料規格(JIS) 「どんな材料を使うか」を決める規格 ・JIS A 6008(アスファルトルーフィング)
・JIS A 6013(改質アスファルトシート)
・JIS K 2207(アスファルト)
施工基準 「どう使うか」「どう施工するか」を定める基準 ・JASS 8(日本建築学会)
・建築防水工事技術指針(全国防水工事業協会)
公共工事基準 「公共建築での品質・検査基準」を統一する ・公共建築工事標準仕様書(国土交通省)
・土木工事共通仕様書(地方自治体・各省庁)


アスファルト防水の施工業者を探す際の注意点は何ですか?


アスファルト防水の施工業者を探す際の注意点は主に以下の3つです。


    • アスファルト防水の施工実績が豊富か確認
      防水工事業者ごとに防水工法の得意不得意があるため、公開されている施工事例などでアスファルト防水の施工実績を確認しましょう。
      業者さんのHPでアスファルト防水の写真が無いか、また、アスファルト防水の提案ができるかといった観点で見極めることができます。


    • 防水工事専門業者を探す
      本格的な防水工事は、防水工事を専門とする業者に依頼するのが安心です。
      外壁塗装業者やリフォーム業者に相談される方も多いですが、主に塗装や仕上げを中心に行うため、防水層の施工まで対応できない場合があります。


    • 3〜4社から見積もりを取って比較する
      1社だけの見積もりでは、費用や工事内容が適正かどうか判断しにくくなります。
      複数社に依頼し比較することで、費用だけでなく提案の内容や保証の有無も見極めやすくなります。


実際には、上記の注意点を踏まえて業者を探すのは容易ではありません。


そのため、第三者機関に相談する方法も有効です。



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最終的に、現在の業者の提案・見積もりと、優良業者の提案・見積もりを比較し、信頼できる業者を採用するのが良いかと思います。




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