シート防水(塩ビシート・加硫ゴムシート)の単価と特徴【単価表公開】

更新日:2024年9月10日 BY 福島 慎介
シート防水の単価

シート防水は、メンテンナンスの手間が少ない上に、強い防水効果を持つ防水工法です。ヘーベルハウスさんや積水ハウスさんといったハウスメーカーの建物は、シート防水が施工されています。

しかしシート防水は、工事の難易度が高い上、近年シェアが増加している防水工法のため、技術者が少なく防水工事専門業者でも出来る業者はあまりいません。その為、工事単価の相場情報を正確に把握しにくい状況です。

もし、塗装業者やリフォーム会社などの防水工事業者以外からシート防水を提案された方や、ハウスメーカーからシート防水を提案された方は、多額の費用を支払ってしまうリスクもあります。

塗装業者やリフォーム業者、そしてハウスメーカーですらシート防水の工事は二次委託をしている可能性があるため、費用が跳ね上がります。シート防水はメンテナンスの手間が他の防水工法よりかからず、防水効果も高い工法のため魅力的ですが、依頼するときは細心の注意が必要です。

本記事では、防水工事アドバイザーの福島が、シート防水の特徴と単価について分かりやすく解説します。

シート防水を採用するなら、まずは基礎知識を得て、業者の施工実績を提出してもらいましょう。

この記事の監修者
福島 慎介
福島 慎介

神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積りや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。

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シート防水施工完了
シート防水の仕上がり

シート防水は、屋上の下地にシートを一体化して敷くことで建物へ雨水や湿気の侵入を防ぐ防水工法です。広い面積でも一度に防水処理ができるので、屋上や屋根等に採用されることが多いです。代表的な工法は塩ビシート、加硫ゴムシート、改質アスファルトシートの3つです。それぞれシートが異なります。

  • 塩ビシート防水:塩化ビニールシート
  • 加硫ゴムシート防水:合成ゴムのシート
  • 改質アスファルトシート防水:アスファルトにプラや合成ゴムを添加したシート

特に塩ビシートは耐久性が長く、ウレタン防水と比べメンテナスフリーということもあり、人気のある工法です。アスファルトシートも歴史も古く信頼性の高い防水とし公共工事で主に利用されている工法です。改質アスファルトシート防水は「シート」という名称がついていますが、一般的にアスファルト防水の方にカテゴライズされています。

アスファルト防水はこちらの記事をご覧ください。

アスファルト防水とは?3つの工法の特徴と単価・施工手順を解説

以上のようにシート防水も種類があり、工法ごとに特徴も単価も異なります。

シート防水が向いている建物

長期的に防水層を持たせたい場合は、シート防水が最適です。

シート防水が向いているのは下記のような場合です。

  • ハウスメーカーの建物
  • 屋上の形が真四角
  • 屋上に設置物が無い
  • 建物に負荷を掛けたくない

アスファルト防水など重たい防水は建物への負荷が大きいので、シート防水のような軽い防水がオススメです。

シート防水はハウスメーカーにも最適な防水工法です

メンテンナンス不要の強い防水のため、 ヘーベルハウスさんや積水ハウスさんといったハウスメーカーの建物は、シート防水が施工されています。

もしハウスメーカー物件でシート防水を施工する場合、ハウスメーカーに依頼することができますが、一般的に費用が高くつきます。

防水工事業者に直接依頼することで費用は引き下げることができますが、シート防水の技術者がそもそも少ない上、ハウスメーカーの経験者となると、施工できる防水業者は非常に限られます。 業者選びには注意が必要です。

以上がシート防水についての基本的知識になります。ここからはシート防水の単価の話になりますが、基礎知識をもっと知りたい方は「シート防水とは?」の記事をご覧ください。

シート防水とは?特徴とメリット・デメリットを防水工事の専門家が解説!

塩ビシート防水
塩ビシート防水の作業

塩ビシートとは、ポリ塩化ビニルで作れているシートです。塩ビシート防水は、紫外線や雨に強く、長寿命で工事後のメンテナンスの手間が少ないのも特徴です。

建物の形状にシートカットしたり、デスク盤取付や溶着作業などもあるため、最も技術を要する工法と言われています。

塩ビシート防水は、既存の防水層の種類を問わず被せることができ、撤去費用がかからず、環境にも優しい防水工法です。

太陽光発電設置前の防水工事や、耐根性があるため屋上緑化もできます。 屋上ガーデニングにも最適です。

もちろん、雨漏りにも対応できます。

耐久性が高く、総合的なコストパフォーマンスを考えればメリットの多い防水工法です。

塩ビシート防水基礎データ

シート防水(塩ビ)
塩ビシート防水の基本データを紹介

シート防水工事の基本データをご案内いたします。

寿命が長いのが特徴ですが、工事の難易度が高く、施工できる業者の少ない工事です。

シート防水は防水性が高く、メンテナンス費用を他の防水工法より削減できる魅力的な防水方法ですが、他の工法に比べ、費用が高価な傾向があります。

手抜き注意度 ★★★★☆
価格相場 6,000円~7,500円/1㎡
平均寿命 15年程度(20年持つこともある)
保証 10年
工法 ・接着工法
・機械式固定法
※各メーカーにより脱気工法あり
適した建物 障害物の少ない建物
(学校、病院・ビル・ALC・RC造戸建・マンション)
不向きな建物 複雑な形状の建物
主なメーカー
と製品名
アーキヤマデ   …リベットルーフ
田島ルーフィング …ビュートップ
ロンシール工業  …ロンプルーフエース、
          ベストプルーフなど
DPF(ダイヤプラスフィルム)…ダイヤフォルテ

ゴムシート防水作業
加硫ゴムシート防水の作業
塩ビシート機械固定法と密着工法
<塩ビシートにおける機械固定法と接着工法>

シート防水(塩ビシート)には機械固定法接着工法があり、施工場所や予算などによって採用したい工法も変わります。

また、シートの厚みは通常1.5ミリですが、2ミリの高耐久仕様(遮熱仕様)にすると 寿命を長くすることができます。

まずは、シート防水とウレタン防水の徹底検証動画をご覧ください。 いずれも雨漏りに有効な工法のため、どちらを選んだらよいかお悩みの方が多いです。

シート機械的固定工法の特徴と単価

塩ビシート機械固定法
<塩ビシート機械固定法>
雨漏り有効度 ★★★★★
雨漏りに大変有効な工法です
価格相場(目安) 6,500円~7,500円/1㎡
平均寿命(目安) 15~18年程度
保証 10年

シート防水の優れた工法として知られています。防水工事見積もり.comの2019年~2023年の施工実績として、採用率40.8%と最も多く採用されている工法です。2位のウレタン防水通気緩衝工法は29.3%のため、現在ではシート防水の機械固定法が主流の防水工法と言えます。

入隅コーナー部、防水端末部にシート鋼板をドリルで固定して塩ビシートを接合する工法で、躯体にシートを接合しませんので、躯体の亀裂・振動や目地の挙動等の影響を受けることはほとんどありません。

下地の撤去が不要で、調整の必要もほとんどないため、改修工事に適しています。
溶着剤または熱風にて瞬時に接合するため、
長期間安定した接合面を保ちます。



絶縁工法のため水蒸気が分散し、部分的な膨れが生じることもありません。

シート防水接着工法の特徴と単価

塩ビシート密着工法
<塩ビシート接着工法>
雨漏り有効度 ★★★★☆
雨漏りに有効な工法です
価格相場(目安) 6,500円~7,000円/1㎡
平均寿命(目安) 12~15年程度
保証 10年

塩化ビニール樹脂で作られた防水シートを接着剤などで貼り付ける工法です。

下地が平らでない場合には施工が難しい場合があります。

下地の撤去などが必要ないので、改修工事に適しています。


ある程度の強度を有することから軽歩行程度の用途に適応できます。

比較的短い工期で仕上がります。

接着工法での施工後に接着剤が剥がれることがあります。通気性がないので下地の影響を受ける工法です。

シート防水における種類別の単価は以下の通りです。他の工法とも比較がしやすいよう、ウレタン防水や改質アスファルトシート防水、FRP防水も記載しています。

防水工事の種類 耐用年数 工法価格(1㎡辺り)
塩ビシート防水
機械固定法
15年~18年程度
(つなぎ目の点検・メンテナンスは必要)
6,500~7,500円
塩ビシート防水
接着工法
10年~15年程度
(つなぎ目の点検・メンテナンスは必要)
6,000~7,000円
加硫ゴムシート防水 10年~12年程度
(5~8年毎にメンテナンスが必要)
5,000~6,000円
ウレタン防水 10~15年程度
(5~10年毎にメンテナンスが必要)
5,000~7,500円
改質アスファルト
シート防水
12年~18年程度
(5~8年毎にメンテナンスが必要)
5,000~7,500円
FRP防水 10年~15年程度
(6~7年毎にメンテナンスが必要)
6,000~8,500円

実際に業者から提案される見積もりと照らし合わせるために、見積もり書形式の価格相場を紹介します。もし見積書をもらっているのであれば、項目ごとの単価を比較してみてください。

塩ビシート防水 機械式固定法の正しい見積もりと価格相場

塩ビシート防水 機械式固定法の正しい見積もりと価格相場

塩ビシート防水 接着工法の正しい見積もりと価格相場

塩ビシート防水 接着工法の正しい見積もりと価格相場

加硫ゴムシートの正しい見積もりと価格相場

※音が出ます

4-1. 【動画付き】防水専門業者が行うシート防水の施工手順(塩ビシート)

1.入隅 鋼板取り付け

端の部分に、鋼鈑と呼ばれる、金物を取り付けます。ビスは斜めにならずフラットになるようにしっかり固定します。鋼鈑と鋼鈑の間は、敢えて2mmから5mm隙間を空けます。地震などの揺れで、塩ビシートが引っ張られたとき、破けたりしないためです。

2.シート防水 張り込み(塩ビ)

ロール状のシートを敷き、端の余った部分をカットします。

平場の端の部分は、溶着剤を付ける部分は、5センチ以上の溶着代を必ず確保します。

3.伸ばしながらシート溶着

シート防水(塩ビシート)を張った後、シートを蹴ってしっかり皺を伸ばしながら、シートの接合部を溶着剤で溶着します。

皺の伸ばし方は、蹴って伸ばすほか、軍手を両手にはめて、雑巾がけの様にしわを伸ばす方法があります。

4.平場 溶着剤

シートの接合部分も、5センチくらいを溶着剤でしっかり接着します。

塩ビシートの溶着は大変技術を必要とする工程で、ムラや液ダレがなく、シートを傷めずに溶着するには、熟練の技術が必要です。

塩ビシートは専門的な作業工程が多いため、 防水専門業者しか施工が出来ません。塗装業者やリフォーム業者に見積もりを依頼されていませんか?またもし防水工事専門業者に依頼したとしても、全ての防水工事業者が塩ビシートを施工できるわけではありません。

その為、工事依頼した業者が二次委託を行い、価格が上がるケースが頻繁に起こっています。これを防ぐには、シート防水の相場・単価を知ることが重要です。

塩ビシートの取り扱いと施工に慣れている業者を選びましょう。

塩ビシートに慣れている業者かどうかの判断の一つとして、近年の施工例の件数を教えてもらうのも一つの手です。

屋上防水2回目の屋上の場合は、下地の状態を確認せずに工事する業者は特に危険です。

下地の工事をせずに、シート防水をそのまま被せるだけで良いと言う業者には特にご注意ください。

防水工事が不十分で雨漏りが発生する可能性があります。

防水工事見積もり.comはコストパフォーマンスに優れた優良業者を厳選して紹介するサービスです。

シート防水が得意な業者は数多く加盟しており、ハウスメーカー物件のシート防水を施工したケースも数多くあり、最大67%の大幅なコスト削減を実現しています。

シート防水工事のシ-トには主に塩ビシートや加硫ゴムシートが用いられますが、現在は塩ビシートが主流です。
塩ビシートはメンテナンスの手間が他の防水工法よりも少ない上に、耐久性や長期的なコストパフォーマンスの高い工法です。
特に、機械固定法は多くのメリットがあります。

  • 簡単なメンテナンスで長期間長持ちする/li>
  • 耐久年数15年以上で、長期的に防水層を維持できる
  • 雨漏りに強い

シート防水は、難易度の高い工法となるため、業者を選ぶ際は工事歴を聞くなどの注意が必要です。

カテゴリー :シート防水  タグ:ハウスメーカー 工法 相場 見積もり 費用・価格