へーベルハウスで雨漏りが発生する原因と対処法は?

更新日:2025年10月2日 BY 福島 慎介
へーベルハウスで雨漏りが発生する原因と対処法は?

へーベルハウスは高耐久・高品質を謳う住宅メーカーとして知られていますが、築10年を超えると雨漏りのリスクが徐々に高まってきます。

ハウスメーカーの防水工事・雨漏り修繕を手がけてきた防水工事アドバイザーが、雨漏りの原因と適切な対処法について詳しく解説します。

メーカー保証の落とし穴や、雨漏り修理業者選びの重要なポイントまで、オーナー様が知っておくべき情報をお伝えしていきます。

この記事の監修者
福島 慎介
福島 慎介

神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積もりや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。

防災工事推進協会 代表理事 紹介ページへ



へーベルハウスで雨漏りが起こる6つの原因
<へーベルハウスで雨漏りが起こる6つの原因>

へーベルハウスの雨漏りは、独自の構造と使用材料の特性から、一般的な住宅とは異なる原因で雨漏りが発生することがあります。

ALC(軽量気泡コンクリート)外壁と陸屋根という組み合わせは、高い耐火性と断熱性を実現する一方で、防水面では定期的なメンテナンスが必要になります。

築年数別の主な雨漏りリスクは以下を目安にしてみてください。

築年数発生しやすい雨漏り原因必要なメンテナンス
築5~10年シーリング材の初期劣化部分補修・点検強化
築10~15年防水シートの劣化開始、塗装の劣化外壁・防水層点検
築15~20年全体的に劣化の進行大規模メンテナンス・工事を検討
築20年以上全体的な防水性能の低下防水工事

屋上防水シートの経年劣化

屋上防水シートの耐用年数は12~18年
<屋上防水シートの耐用年数は12~18年>

へーベルハウスの陸屋根に採用されている塩ビシート防水は、新築時は優れた防水性能を発揮しますが、紫外線や温度変化の影響を受けて徐々に劣化していきます。

一般的に塩ビシートの耐用年数は12~18年とされていますが、築10年を過ぎた頃から、シートの収縮による継ぎ目の開きなどによる硬化・ひび割れが起こることがあります。

防水シートの劣化は以下のポイントで知ることができます。

  • シート表面の変色、白化現象
  • 継ぎ目部分の剥がれ、浮き
  • シート全体の硬化や弾力性が低下している
  • 排水口周りのシートの破れ、穴
  • 立ち上がり部分の剥がれ

これらの症状があるか定期的にチェックすることが重要で、早期発見すれば工事費用は安くなります

ALC外壁の目地シーリング材の破断

シーリングの破断が雨漏りの原因に
<シーリングの破断が雨漏りの原因に>

ALC外壁の目地シーリング材が破断していると雨漏りが発生します。

紫外線や風雨により徐々に弾力性を失い、最終的には破断に至ります。

シーリング材の劣化進行段階の目安は以下の通りです。

  1. 初期段階(築5~7年): 表面の艶が失われ、若干の硬化が始まる
  2. 中期段階(築7~10年): 弾力性が低下し、細かいひび割れが発生する
  3. 後期段階(築10~15年): 破断や剥離が発生し、雨水浸入のリスクが高まる
  4. 危険段階(築15年以上): 完全に機能を失い、緊急の打ち替えが必要

雨漏りは、細かいひび割れ(中期段階)でも発生する可能性があります。

ALC外壁パネル間の目地に充填されているシーリング材は、建物の動きを吸収する重要な役割を担っています。

へーベルハウスのALC外壁は、一般的なサイディングよりも目地が多く、縦横に規則的に配置されているため、シーリング材の劣化には注意が必要です。

陸屋根のドレン・排水の詰まり・不具合

ドレン周りの排水が悪くなると雨漏りが起こる
<ドレン周りの排水が悪くなると雨漏りが起こる>

屋上のドレン(排水口)や竪樋が落ち葉やゴミで詰まると、雨水が屋上に滞留し、防水層の劣化が進行します。

ドレン・排水の不良は徐々に問題を大きくします。

段階発生する現象建物への影響
第1段階排水口にゴミが蓄積排水速度・効率の低下。
第2段階屋上に水たまり発生防水層への負荷が増え、劣化しやすくなる。
第3段階立ち上がり部まで水位上昇雨水が侵入
第4段階防水層の劣化が加速する構造体まで雨水浸入し、大規模工事が必要

へーベルハウスの陸屋根は勾配が緩やかなため、排水システムの機能が雨漏り防止の要となるので、ドレンと排水状態に異常をきたすと雨漏りにつながってしまいます。

外壁塗装の劣化によるひび割れ

ひび割れがあると雨水が建物に侵入する
<ひび割れがあると雨水が建物に侵入する>

ALC外壁の表面を保護する塗装層は、防水性能を維持する最前線の防御壁として機能していますが、経年により塗膜の劣化が進行すると、微細なひび割れから構造的なクラックまで、様々な亀裂が発生します。

外壁塗装の劣化の進行サインと対処タイミングは以下を参考にしてください。

  • チョーキング現象: 手で触ると白い粉が付く → 塗り替え検討時期
  • 色褪せ・変色: 特に南面・西面で顕著 → 1~2年以内に塗装推奨
  • 塗膜の剥離: 部分的な剥がれが発生 → 早急な補修が必要
  • ひび割れ発生: 0.3mm以上のクラック → 即座に補修対応

サッシ・窓枠周りの防水処理の劣化

サッシ・窓枠周りは10年程度で劣化する
<サッシ・窓枠周りは10年程度で劣化する>

窓やサッシ周りは、異なる材料が接合する部分であるため、構造的に雨水が浸入しやすい弱点となります。

へーベルハウスでは、サッシとALC外壁の取り合い部分にシーリング材と防水テープによる二重の防水処理が施されていますが、これらの防水材は10年程度で劣化が始まります。

窓周りの雨漏りリスクチェックは以下のポイントを見てください。

  • 室内側:クロスの変色、カビの発生、結露跡
  • 室外側:シーリングの亀裂、防水テープの剥がれ
  • 窓枠:変形、錆の発生、開閉不良

劣化症状が見られたら、へーベルハウスか、防水工事・雨漏り修繕の業者に相談しましょう。

雨どいの不具合

雨どいの劣化・不具合は二次的な被害が発生する
<雨どいの劣化・不具合は二次的な被害が発生する>

雨どいの不具合は、直接的な雨漏りの原因にはなりません。二次的な被害を引き起こす要因です。

雨どいが詰まると水があふれ、外壁を伝って流れ落ちるため、外壁が汚れたり塗装が早く劣化します。

また、雨水が逆流して軒裏や屋根にしみ込み、屋根裏や天井の雨漏りにつながることがあります。

雨どいの点検は以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 軒樋の勾配は適切か
  • 集水器に詰まりはないか
  • 竪樋の接続部に外れはないか
  • 支持金具に緩みや破損はないか
  • オーバーフロー跡がないか

へーベルハウスの雨漏り保証は、一見すると手厚い内容に見えますが、実際に保証を受けようとすると様々な制約があることに気づくオーナー様が多いのが実情です。

  • 雨漏りの30年保証は見守り点検保証のこと
  • 築10年以降に補修・工事をすると有償になる
  • 定期点検・補修はへーベルハウスがやる

「30年保証」という言葉だけが独り歩きしていますが、保証を受けるためには定期的な有償メンテナンスの実施が前提条件となっており、さらに保証対象となる雨漏りの範囲も限定的です。

30年保証の落とし穴と実際の適用範囲

へーベルハウスが謳う「30年保証は、構造躯体と防水に関する初期保証が10年間で、その後は5年ごとの有償メンテナンスを実施することで、最長30年まで延長できます。

築年数メンテナンス内容概算費用保証延長条件
築5年無償点検0円
築10年初回有償メンテナンス100〜150万円程度実施で15年まで延長
築15年大規模メンテナンス200〜300万円程度実施で20年まで延長
築20年防水・外壁総合改修300〜400万円程度実施で25年まで延長
築25年設備含む総合改修350〜450万円程度実施で30年まで延長

メンテナンスも高額であるため、30年保証を受け続けるためには、高額な維持費用を払い続けることになるかも知れません。

築10年以降は有償修理になるケースが多い理由

築10年を過ぎると、初期保証期間が終了するため、ほとんどの雨漏り修理が有償となります。

これは単に保証期間の問題だけでなく、各部材の耐用年数とも密接に関連しています。

防水関連部材の一般的な耐用年数は以下の通りです。

  • シーリング材:7~10年
  • 防水塗装:10~15年
  • 塩ビシート防水:15~20年
  • ALC外壁本体:50年以上(適切なメンテナンス実施時)

旭化成リフォームの点検では「予防的メンテナンス」として大規模な防水工事を勧められることもあり、その見積もり金額が高く驚くオーナー様も少なくありません。

保証対象外と判断されやすい雨漏り事例

実際の現場で保証対象外と判断される典型的な事例を、カテゴリー別に整理しました。

  1. メンテナンス不足による雨漏り
    ・屋上排水口の清掃不足による水たまり
    ・外壁ひび割れの放置による雨水浸入
    ・雨どいの詰まりによるオーバーフロー
  2. オーナー側の改修による雨漏り
    ・太陽光パネル設置時の防水層損傷
    ・他の業者に修理を依頼した
    ・エアコン追加工事での外壁穴あけ
    ・アンテナ設置による屋上防水の破損
  3. 自然災害による雨漏り
    ・台風による飛来物での外壁損傷
    ・記録的豪雨による想定外の浸水
    ・地震による構造体の変形

上記のようにへーベルハウスの保証を受けられるには条件が細かく決まっており、保証適用外で高額な修繕費用を支払う方も多いです。

防水工事ができるのはハウスメーカーと防水業者だけ
<防水工事ができるのはハウスメーカーと防水業者だけ>

へーベルハウスで雨漏りが発生した際、以下の4業者に依頼することになります。

  • 旭化成に直接依頼する
  • 防水工事・雨漏り修繕の専門業者
  • 外壁塗装業者(外壁のみ)
  • 工務店・リフォーム業者(対応可能な業者は限られる)

多くのオーナー様が最初に悩むのが「どこに修理を依頼すべきか」という問題です。

外壁塗装やリフォーム業者は、防水工事・雨漏りの専門業者ではないので、旭化成か別の防水工事業者に依頼することになります。

旭化成リフォーム(メーカー修理)

旭化成リフォームは、へーベルハウスの設計・施工を熟知している唯一の公式メンテナンス部門です。

旭化成リフォームのメリット・デメリットは以下の通りです。

項目メリットデメリット
技術力構造を完全に把握、図面・履歴保有過剰な工事提案の可能性
費用相場の1.5〜2倍の高額見積もり
保証充実した保証体制保証適用条件が厳格
対応アフターサービス充実工事まで数ヶ月待ち
信頼性メーカー直営の安心感営業圧力が強い場合も

ハウスメーカーの防水工事・雨漏り修繕が得意な防水工事専門業者

ハウスメーカーの防水工事・雨漏り修繕が得意な防水工事専門業者に依頼することができます。

しかし、ハウスメーカーの防水工事が得意な業者は限られており、探し出すのが大変です。

防水工事専門業者選定時の確認ポイントは以下の通りです。

  • へーベルハウスの施工実績が豊富にあるか?
  • 防水施工技能士1級保有者がいるか
  • 工事保証があるか
  • 様々な防水工法を施工する技術力と知識を持っているあ

費用面では旭化成リフォームより30~60%程度安く施工できることが一般的です。

外壁塗装業者

外壁塗装業者は、主に外壁のひび割れやシーリング材の劣化が原因の雨漏りに対応可能です。

外壁塗装業者に依頼する際は以下のような注意点があります。

  1. ハウスメーカーの雨漏り工事の実績確認が必須
  2. 防水工事はできない場合が多い
  3. 依頼する場合は外壁のみにしておく
へーベルハウスの防水工事は技術力・知識・経験が必要
<へーベルハウスの防水工事は技術力・知識・経験が必要>

へーベルハウスの防水工事は、一般的な木造住宅とは全く異なる専門知識と技術が必要となるため、適切に施工できる防水工事業者は限られています。

へーベルハウス防水工事に必要な専門知識

分野必要な知識・技術一般住宅との違い
構造理解ALC外壁の特性把握木造とは全く異なる材料特性
防水技術陸屋根防水システム勾配屋根とは異なる施工方法
材料知識専用シーリング材の選定ALC専用材料の使用が必須
納まりへーベル独自の納まりメーカー特有の施工基準

実際、経験の浅い業者が不適切な材料や工法で修理を行い、かえって雨漏りを悪化させてしまうケースも少なくありません。

信頼できる雨漏り修理業者を選ぶことは、長期的な建物の健全性を維持するために極めて重要です。

失敗しない業者選びの4つの重要ポイントを解説します。

へーベルハウス施工実績の豊富さで判断する

へーベルハウスの施工実績は、業者選定における最も重要な判断基準の一つです。

以下のポイントで確認するようにしてください。

  • へーベルハウスの施工実績が豊富であること
  • シート防水が扱える業者であること

実績を確認する際は、単に件数だけでなく、どのような雨漏りをどんな工法で修理したのか、修理後の経過まで詳しく聞くことが大切です。

防水施工技能士・雨漏り診断士などの専門資格を確認する

専門資格の有無は、業者の技術力と信頼性を測る客観的な指標となります。特に重要なのは防水施工技能士です。

資格名資格の意味重要度
防水施工技能士1級防水工事の最高位国家資格★★★★★
雨漏り診断士雨漏り原因究明の専門資格★★★★☆
建築施工管理技士工事全体の管理能力★★★★☆
建築士構造理解と総合的判断力★★★☆☆

見積もりが安すぎる業者には逆に注意

極端に安い見積もりを提示する業者には、特に注意が必要です。

以下がへーベルハウスの工事費用目安になります。

  • 部分補修(シーリング打ち替え等):8〜20万円
  • 外壁塗装(足場込み):100〜150万円
  • 屋上防水全面改修:50〜70万円
  • 外壁・防水総合改修:300〜400万円

これより大幅に安い場合は、工法の選定が間違っている場合や、材料の品質や工程の省略を疑う必要があります。

特に、安価な見積もりで「ウレタン防水」が提案された場合は、なぜその工法を提案したのか理由をしっかり確認するようにしましょう。

ウレタン防水は施工性が高い安価な工法ではありますが、ヘーベルハウスの建物では高い技術や経験を要する場合があります。

ただし、塩ビシート防水が可能な業者からの提案であれば、塩ビシートの状態を正確に把握したうえで「ウレタン防水」の施工を判断することができます。

「安い」という理由だけで安易にウレタン防水を勧めてくる業者には注意が必要です。

3社以上の見積もりを取り比較する

複数の業者から見積もりを取ることは、適正価格の把握だけでなく、各業者の提案力や誠実さを比較する上でも重要です。

見積もり比較時の重要確認項目

  1. 金額の内訳: 材料費、人件費、諸経費の明確な記載
  2. 工事内容: 具体的な施工方法と工程の説明
  3. 使用材料: メーカー名、商品名、グレードの明記
  4. 保証内容: 保証期間と保証範囲
  5. 追加費用: 発生可能性のある追加工事の事前説明

へーベルハウスは耐火性・断熱性に優れた住宅ですが、独自の構造ゆえに、防水メンテナンスの知識と経験が不可欠です。

築年数ごとに起こりやすい劣化を把握し、早めの対応をすることが、雨漏り防止と修繕費用の抑制につながります。

「防水工事見積もり.com」なら、へーベルハウスの施工実績が豊富な専門業者へ一括で見積もり依頼が可能です。

雨漏りが心配な際は、ぜひお気軽にご活用ください。

カテゴリー :ハウスメーカー/雨漏り  タグ:ハウスメーカー 雨漏り 

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