アスファルト防水で雨漏りが起きたら?原因調査と対策方法
「アスファルト防水で雨漏りが起きたらどうする?」「アスファルト防水の雨漏り原因は?」
アスファルト防水は高い信頼性を誇り、ビルや大型施設、マンションなどでも広く採用されている防水工法です。
しかし、年月の経過や施工時の不備などによって、思いがけず雨漏りが発生する可能性もあるのです。
本記事では、防水工事アドバイザーの福島が、アスファルト防水の基本的な特徴から、雨漏りが起こる原因や見分け方、そして適切な対処法までを分かりやすく解説します。
■福島 慎介
神奈川県出身 一般社団法人 防水工事推進協会 代表理事 防水アドバイザーとして12,000枚以上の見積もりや防水工事を診断 お客様の立場・視点から分かりやすくお伝えします。
アスファルト防水とは?その特徴とメリット

アスファルト防水とは、加熱して溶解したアスファルトと、シート状の防水材「ルーフィング」を重ねて防水層を形成する伝統的な工法です。
高温で溶かしたアスファルトと、ガラス繊維やポリエステルを芯材としたシートを交互に貼り合わせることで、一体化した強固な防水層を作り出します。
最大のメリットは、その非常に高い耐久性と信頼性です。
シートとアスファルトが一体となるため防水性が高く、建物の動きに対する追従性も持ち合わせています。
また、耐用年数が10~25年と他の防水工法に比べて長く、長期的な視点で見るとメンテナンスコストを抑えられる可能性があります。

アスファルト防水は、防水工事の中で最も古くから行われ、絶対的な実績のある防水工法として、現在でも公共工事や大型の新築物件に採用されています。
現在の改修工事で主に使用されているのは「改質アスファルトシート」を利用した「常温粘着工法(冷工法)」や「トーチ工法」と呼ばれる工法で、熱工法に比べてさらに温度変動に対する安定性と耐候性が向上しています。
改質アスファルトシートは、公共工事や大型の新築物件に加え、ルーフバルコニーなどにも一部採用されることがあります。
耐久性の高さが魅力

アスファルト防水は、数ある防水工法の中でも特に耐久性と防水性に優れていることで知られています。
主な施工方法として「熱工法」「トーチ工法」「常温粘着工法(冷工法)」があり、いずれもアスファルトを含浸させた防水シート(ルーフィング)を複数層に重ねて強固な防水層を構成する点が共通しています。
この防水層の仕上げに「押えコンクリート」などを施すことで、紫外線や熱による劣化から防水層を保護し、長期間にわたって安定した防水性能を維持できるのが大きな特徴です。
その信頼性の高さから、大規模な建築物の屋上などで広く採用されています。
雨漏りしにくい構造

アスファルト防水、特に押えコンクリート仕上げの工法は、その構造上、非常に雨漏りしにくいという特徴があります。
これは、もともと耐水性が優れたアスファルト防水の防水層の上に「押えコンクリート」と呼ばれる厚い保護層が設けられているためです。
たとえこの押えコンクリートの表面に小さな亀裂が入ったとしても、直下の防水層がすぐに損傷を受けるわけではありません。
このように、表面上の軽微なダメージであれば、直接雨漏りに繋がらないケースが多く、高い信頼性を誇ります。
戸建て(RC造)・ビル・マンション問わず採用されている

アスファルト防水は、その卓越した耐久性と高い信頼性から、多様な建築物で採用されてきた確固たる実績を誇ります。
特に、鉄筋コンクリート造(RC造)の戸建て住宅の陸屋根や、ビル、大規模マンション、商業施設、公共施設といった大規模建築物の屋上での防水工法として選択されることが一般的です。
広大な面積に対する効率的な施工性、そして20年以上に及ぶ長期的な防水性能の安定性が期待できることから、建築のプロフェッショナルからも高く評価されており、現在においても多くの建物で採用されています。
デメリット:地震時の脆弱性と劣化進行リスク

アスファルト防水は堅牢な防水層を形成しますが、その一方で地震時の脆弱性と劣化進行のリスクがあります。
特に、保護層である押えコンクリートの劣化が防水層本体に及んだ場合、状況は一変します。
押えコンクリートに生じた微細なクラックであっても、その隙間から雨水が徐々に浸透し、最終的には直下のアスファルト防水層を劣化させる可能性があります。
防水層そのものにまで水分が浸入すれば、建物の骨組みまで水が回り込んでしまい、最終的には室内への雨漏りにつながります。
アスファルト防水は高い防水性を持つ一方で、建物の大きな揺れに対しては、硬い押えコンクリート層に亀裂が生じやすく、そのダメージが下の防水層に広がるリスクを伴います。
アスファルト防水で雨漏りが起こる主な原因

アスファルト防水は優れた防水性能と耐久性を誇る工法です。
しかしアスファルト防水でも雨漏りは起こります。
原因は主に以下の4つです
- 経年劣化
- 防水層のひび割れ
- 排水口(ドレンの劣化)
- 施工不良や下地処理不足
1つずつ詳しく解説します。
防水層の経年劣化

アスファルト防水は耐久性の高い工法ですが、それでも経年による劣化は避けられません。
例えば以下のような兆候が見られた場合、経年劣化が進行している可能性が高いです。
- 表面のひび割れやクラック
- コンクリートの隙間からコケや雑草が生えてくる
- 水はけが悪くなり、雨がたまりやすくなる
- 防水層の膨れや浮き
これらの劣化症状は、見た目には大きな異常がなくても、内部の防水性能が低下しているサインです。
一般的に10~25年程度が耐用年数の目安とされており、それを超えると劣化が目立ち始めます。
劣化が進むと、ちょっとした衝撃でもひび割れが生じやすくなるため注意が必要です。
防水層のひび割れ・剥離

アスファルト防水層そのものにひび割れが生じたり、下地から剥離したりすると、そこから雨水が建物内部へ浸入する経路が形成されます。
ひび割れは、主に経年劣化による材料の硬化収縮のほか、下地の変形、地震による揺れなどが原因で発生します。
また、施工後すぐにひび割れ・剥離が見られなくても、防水層内部での密着不良や接着剤の劣化が進むことで、年月とともに剥離が進行するケースもあります。
浮きや膨れを発見した際には、速やかに専門業者による点検を依頼しましょう。
排水口(ドレン)周辺の不具合

アスファルト防水層自体の状態が良くても、排水口(ドレン)周辺に機能不全や劣化がある場合、雨漏りの発生リスクにつながります。
ドレンは屋上やベランダに降った雨水を効率的に排出する役割を担っていますが、落ち葉、土砂、鳥の巣、その他のゴミなどが詰まると、適切に排水されずに水が滞留します。
これにより、排水できずに防水層が水浸しになるか、最悪の場合、排水できなかった水が建物内部へ浸入する可能性があります。
そもそも、ドレン周辺は防水層と異なる部材との取り合い部(ジョイント部)となるため、材料の伸縮性の違いや経年によるシーリング材の劣化によって、最も漏水リスクの高い箇所の一つとされています。
施工不良や下地処理の問題

防水工事における施工時の不備は、将来的な雨漏りの根本的な原因となり得ます。
アスファルト防水においては、以下のような施工不良が挙げられます。
- 重ね合わせの不足
防水シートの重ね幅が不足している場合、継ぎ目に隙間が生じ、水が浸入しやすくなる - シートの密着不良
シートと下地、またはシート同士の接着が不十分だと、時間の経過とともに剥離や浮きが生じ、防水性が損なわれます。 - 端部処理の甘さ
立ち上がり部分や入隅・出隅など、防水層の端部や角部分の処理が不適切だと、そこから雨水が回り込みやすくなります。 - 脱気装置の不備
下地の湿気を適切に排出する脱気筒の設置が不十分だと、湿気が防水層を押し上げ、膨れや破断を招きます。
また、下地となるコンクリートに凹凸があったり、乾燥が不十分なまま施工されたりすると、防水層が下地に適切に追従できず、剥離や破断、または膨れが発生しやすくなります。
これらの施工不良は、初期段階では目に見えなくても、数年後に雨漏りを引き起こす可能性があります。
アスファルト防水の雨漏りしている現象と調査方法!

アスファルト防水の雨漏り原因の調査方法は、自分で目視で確認をするか、専門業者に調査をしてもらうかのどちらかになります。
それぞれ詳細を説明します。
目視での確認
建物の屋上や屋根まわりを目で見て確認してみましょう。
特別な機材は必要ありませんが、以下のようなポイントに注目してください。
- 表面や保護モルタルのひび割れ・クラック
- 雑草やコケが生えている箇所(防水層の隙間から根が入ることも)
- 水たまりができやすい場所(排水不良の兆候)
- ドレン(排水口)まわりのサビ、劣化、部品の欠け
- コンクリート表面の浮き・剥がれ・色の変化
こうした異常が見つかった場合、すでに防水層にダメージが入っている可能性があります。
また、異常が見つからなかったからといって、必ずしも安心という訳でもありません。
あくまで目視確認は、習慣的に屋上をチェックするきっかけづくりとして考えておくのが賢明です。
防水工事専門業者に調査を依頼する

建物の防水層の状態を正確に把握し、将来的な雨漏りを未然に防ぐためには、防水工事専門業者による調査が不可欠です。
防水のプロであれば、次のような専門的な視点と道具を使って正確な診断を行うことができます。
- 赤外線カメラや打診による見えない箇所の劣化チェック
- 防水層の施工方法や構造の特性を踏まえた判断
- 症状の原因を特定し、再発を防ぐための具体的な提案
- あえてドレンを閉めた状態で屋上に水を溜めて、雨漏りの原因を調査
さらに、素人では見逃してしまうような劣化兆候にも気づけるため、不必要な補修を避け、必要な部分だけを最小限で修繕することも可能になります。
実際、雨漏りの原因は常に防水層にあるとは限らず、外壁のひび割れやサッシ周りの劣化、屋根・配管まわりなど、別の部位が原因になっているケースも少なくありません。
原因を誤ると、いくら防水工事を行っても雨漏りが解決せず、無駄な費用が発生します。
そもそも保証を付けないのであれば、部分的な補修も快く受け入れてくれます。
特に、築年数が10〜15年程度以上経っていたり、以前に雨漏りを経験したことがある建物であれば、まずは専門の防水業者に調査を依頼し、雨漏りの発生源を正確に特定したうえで
防水工事を検討することが重要です。
アスファルト防水の業者選びで失敗しないために
アスファルト防水は高い防水性能を持つ反面、施工には専門的な知識と技術が求められます。
また、施工後のメンテナンスや万が一の雨漏り対応にも、信頼できる防水業者の存在が欠かせません。
しかし、「どこに頼めば安心なのか分からない」と迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで、後悔しない防水業者の選び方について、ポイントを3つに絞ってわかりやすくご紹介します。
アスファルト防水に対応できる業者か?
防水工事には多くの工法がありますが、すべての業者がアスファルト防水に対応しているわけではありません。
アスファルト防水は専門性が高く、施工には技術と設備が必要なため、取り扱っていない業者も存在します。
見積もりを依頼する際は、まず「アスファルト防水の提案が可能かどうか」を必ず確認しましょう。
さらに、建物の状態や環境によっては、アスファルト防水と相性の良い別工法との組み合わせ提案ができるかどうかも大切なポイントです。
アスファルト防水と相性が良い工法を提案できるか?
既存のアスファルト防水を改修する場合は、次の3つの工法がおすすめです。
- 改質アスファルトトーチ工法
従来のアスファルト防水よりも軽量かつ施工性が高く、補修や部分施工にも向いている - 塩ビシート機械固定工法
下地を傷めず施工可能で、アスファルト防水層を残したまま重ね貼りができるケースも - ウレタン通気緩衝工法
下地に含まれた水分を逃がしながら防水層を形成できるため、既存のアスファルト防水との相性が良い
これらの工法が施工できる業者であれば、信頼できる業者と言えます。
特に「改質アスファルトトーチ工法」と「塩ビシート機械固定工法」が出来る業者がおすすめです。
対応が丁寧で、工法の説明は明確か?
見積もりの内容だけでなく、「人として信頼できるかどうか」も非常に重要です。
以下のようなポイントは、業者選びの判断材料になります。
- 質問に対して丁寧に答えてくれるか
- 使用する材料や工法の説明が明確であるか
- 工事内容のメリット・デメリットを正直に伝えてくれるか
逆に、説明が曖昧だったり、「とにかく早く契約してほしい」という態度の業者は注意が必要です。
専門用語を噛み砕いて説明してくれるかどうかは、誠実さや技術力の裏付けにもなります。
全国対応・匿名相談可能な見積もりサービスの活用
「いきなり業者に連絡するのは不安…」という方は、匿名で相談・見積もり依頼ができるサービスを活用するのが安心です。
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という特長があり、「まずは話だけ聞いてみたい」という段階でも気軽に利用できます。
専門性の高い工事だからこそ、最初の一歩を失敗しないために、信頼できる比較サービスの活用は大きなメリットになります。
まとめ:雨漏りに気づいたら、すぐに防水工事見積もり.comにお問い合わせください
アスファルト防水は優れた防水工法ですが、メンテナンスなしでは性能が落ちていきます。
もし雨漏りが発生したら、「どこから」「なぜ」漏れているのかを早めに突き止め、適切な補修や改修を行うことが重要です。
無料で優良業者の見積もり比較ができる防水工事見積もり.comを活用し、あなたの大切な建物を守りましょう。

